成果に直結する、心地よいリフレッシュスペース「5つの視点」

成果を出し続けるために、適切に休む。これは今や、ビジネスパーソンにとって欠かせないスキルです。業務内容に合わせて働く場所を選ぶABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)という考え方が浸透した今、その視点は「働き方」だけでなく「休み方」の質にも向けられています。

私たちFRSがオフィス構築をお手伝いする中でも、リフレッシュスペースの整備や拡充に関するご相談は、ここ数年でひと際大きくなりました。

その中で多く伺うのは、単に「休憩場所が欲しい」という声だけではありません。限られた面積をいかに有効活用し、自社にとって最適なリフレッシュ空間をつくるか。「休憩」という枠組みだけにこだわらず、いかに多様な機能を併せ持つ場を構築できるかという、企業の皆さまの切実かつ前向きな想いです。

その背景には、採用力の強化、エンゲージメントの向上、離職防止、さらにはイノベーションの創出といった、多くの経営課題が隠れています。今、オフィスづくりの現場において、リフレッシュスペースは単なる「休憩場所」ではなく、多岐にわたる課題を解決するための「戦略的な一手」として注目されているのです。

限られたスペースの中で、休憩、雑談、そしてリラックスした状態でのカジュアルワーク――これらをゆるやかに共存させる多機能型(ハイブリット)な場づくりは、今や多くの企業にとって、非常に現実的で前向きな選択肢となっています。

今回のブログでは、なぜ今こうしたスペースが求められているのか、近年の調査結果を交えて整理します。さらに、企業の課題解決に直結し、社員が「ここで働けてよかった」と感じる空間づくりのヒントをお届けします。

健康と幸福がつくる「最強のチーム」

今、多くの企業が求める「リフレッシスペース」。企業によっては、それが多目的な共有スペースやラウンジ空間を指す場合もありますが、「自席から離れる場所」があることは、チームのパフォーマンスに直結します。

「休めない」ことが生む、目に見えない巨大な損失

「ずっとデスクに張り付いて働くことが効率的」という考え方は、今やデータによって見直されています。ここで注目したいのが「プレゼンティーイズム」という概念です。

これは、心身の不調を抱えながら出勤し、本来のパフォーマンスが発揮できない状態を指します。2025年に発表された最新の調査(横浜市立大学等)では、こうした「隠れた生産性低下」による経済損失は、日本全体で年間約7.6兆円にものぼると試算されています。

意識的に自席の緊張感から離れ、「脳のモードを切り替える場所」を持つこと。それが、結果としてこうした目に見えない損失を防ぐ一歩になります。

脳を整える「情報の整理時間」

脳科学の視点からも、リフレッシュの重要性が証明されています。私たちがぼんやりとした時間を過ごすとき、脳内では「デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)」と呼ばれる回路が活性化します。

これは、脳が意識的な作業を止めて、自動的に情報を整理・メンテナンスしている状態のことです。デスクで集中しているときは目の前の情報処理で手一杯になりますが、リラックスして脳を「お休みモード」に切り替えることで、脳はバラバラだった知識や記憶をパズルのようにつなぎ合わせ始めます。

このときに生まれる「脳の余白」こそが、新しいアイデアや問題の解決策をひらめくための土壌となります。リフレッシュスペースで過ごす時間は、単なる休憩ではなく、次のアウトプットの質を高めるための「戦略的な準備時間」と言えるのです。

「雑談」という名の最強のインフラ

多目的なリフレッシュスペースには、部署を超えた「偶然の出会い」を生むという大きなメリットがあります。

コーヒーを片手にした何気ない会話や、リラックスした状態で行うカジュアルな打ち合わせ。そこから生まれる心の余裕や相互理解が、組織の「心理的安全性」を高めます。「このチームなら何を言っても大丈夫」という安心感がある組織ほど、トラブルの報告が早まり、意思決定のスピードも加速します。

リフレッシュスペースは、身体を休めるだけでなく、チームを「最強」へと導くためのコミュニケーション・インフラとしても機能するのです。

ワーカーの「本音」と、会社の姿勢

実際のワーカーや求職者は、オフィス環境をどう見ているのでしょうか。

近年の調査では、多くのワーカーが「オフィスに求める機能」として「リフレッシュできる空間」を上位に挙げています。また、求職者は豪華な設備そのものを見ているのではなく、「いかに社員の心地よさを工夫しようとしているか」という会社の姿勢を見ています。

たとえ面積に制約があっても、社員の健康と幸福を考え、知恵を絞って作られたスペースは、社員が「ここで働けてよかった」と感じるための、何よりのメッセージになります。

戦略的にリフレッシュスペース(多目的スペース)をつくることは、社員の健康と幸福に寄与し、結果として労働生産性の向上を底上げすることに繋がります。

それは目先のコストではなく、数年後の組織の強さとして返ってくる、大切な未来への投資と言えるでしょう。

失敗しないための「戦略的空間づくり」

リフレッシュスペースを構築するときに大事なこと

せっかくリフレッシュスペースをつくっても、社員に利用されなければ意味がありません。社員が心身ともにリセットでき、次の業務に前向きに取り組める場にすることを意識することが大切です。自社の文化や課題にマッチした空間にするために、まずは以下の5つの視点で計画を進めましょう。

①多様な「休み方」を受け止める場づくり

人によってリフレッシュの仕方は異なります。「一人で静かに過ごしたい」人もいれば、「誰かと雑談して気分転換したい」人もいます。そのため、空間の中に多様な選択肢を用意することが重要です。

・ソロスペース: 周囲の視線を遮り、思考を整理したり、短時間の仮眠をとったりできる場所。

・コミュニケーションスペース: 自然と会話が生まれるような、開放的なテーブル席やソファ席。

このようにワーカーが「その時の気分で場所を選べる」状態にすることが、結果として社員の心理的安全性を高め、パフォーマンスの向上へと繋がります。

②「適切な場所」を戦略的に選ぶ

リフレッシュスペースをオフィスのどこに配置するかは、利用率を左右する大きなポイントです。利用する従業員の職種や働き方、部屋の形なども確認しながら、空間をどんな場所にするかをよく検討し設計レイアウトを行うとよいでしょう。

・オン・オフの切り替え: 執務室と近すぎると仕事の緊張感が抜けず、遠すぎると利用しにくくなります。

・環境への配慮: 飲食を伴う場合は、ランチの匂いが執務スペースに流れないよう、空調や位置関係に配慮が必要です。

・動線の活用: コミュニケーション活性化を狙うなら、多くの社員が通るメイン動線上に配置し、ふらっと立ち寄りやすい「マグネットスペース」としての機能を待たせるのが有効です。

③滞在のメリットを感じる「機能」を整える

「あそこに行けば便利・快適だ」というメリットを感じさせる工夫も欠かせません。

・インフラ整備: Wi-Fi環境や電源を整えることで、リラックスしながら情報をインプットしたり、少し場所を変えて軽作業をしたりといった柔軟な使い方が可能になります。

・リフレッシュの促進: 飲料や軽食のコーナーを充実させることは、利用のきっかけ作りに最適です。

・情報共有: 社内報や掲示板を設置することで、リラックスした状態で会社のニュースに触れることができ、社内コミュニケーションの活性化にも寄与します。

④心身を健やかにする「デザイン」の導入

デザインにも配慮された空間は、ワーカーの居心地の良さを大きく左右します。

まず有効なのが、自然の要素を取り入れる「バイオフィリックデザイン」です。ある調査(※インターフェイス社:Human Space Report)では、オフィスに植物や自然光を取り入れることで、従業員の幸福度が15%、生産性が6%、創造性が15%上昇するという結果も出ています。植物や自然素材を視界に入れることで、ワーカーが心身ともに健やかな状態になる手助けをし、ウェルビーイングに寄与します。

また、ハイブリッドワークの浸透により「働く場」と「くつろぐ場」の境界が曖昧になっている今、「リビングライク」な空間づくりも重要です。自宅にいるようなリラックスした環境をオフィスに再現するため、デザイン性の高いカジュアルな家具や、温かみのある照明を採用する企業が増えています。こうした「家のように落ち着けるデザイン」は、過度な緊張感を解きほぐし、社員が素の自分に戻ってリフレッシュすることを可能にします。

⑤「運用ルール」を決めて周知する

「作って終わり」にならないよう、使い方のマニュアルやルールを明示しましょう。

心理的ハードルを下げる: 「何をしていい場所か」が明確でないと、日本人の気質として「サボっていると思われないか」と利用を躊躇してしまうことがあります。また、ランチ休憩優先の時間帯を設定するなども、利用を促す方法の一つです。打合せができる空間であっても「12時から14時はランチ優先」と明示してあれば、社員が安心してランチの時間を過ごすことができます。

直感的な案内: 文字だけのルールブックではなく、イラストを用いたPOPなどで「ランチOK」「片付けのお願い」などを掲示すると、運用がスムーズになり、常に清潔で使いやすい空間が保たれます。

リフレッシュスペースづくりの具体アイデア・仕掛け

具体的にどのような仕掛けを作れば効果が出るのか、多くの企業で取り入れられている具体的なアイデアを、実際の企業様の事例と共にご紹介します。

①「ソロスペース」で脳を深く休める

仕事の合間に脳の疲れをリセットするには、短時間でも「一人の世界」に入ることが有効です。

窓際カウンター: 外の景色を眺められる席は、視覚的な解放感を与え、目の疲れを癒やします。

ハイバックソファ: 背もたれが高いソファを置くだけで、周囲の視線が遮られた「囲われ感」のあるプライベート空間が手軽に作れます。

〈FRSオフィス事例〉

ポールトゥウィン様 秋葉原第二センター (オフィス内装デザイン事例「efude」)

②「バイオフィリックデザイン」で五感を癒やす

自然を感じさせる方法は「緑を置く」以外にも、実はたくさんあります。

緑視率の調整: 視界に入るグリーンの割合を適切に保つことで、ストレス軽減効果が得られます。多ければ多いほど良いと思われがちですが、オフィスワーカーのストレスを軽減する緑視率は10~15%と言われています。

フェイクグリーンの活用: メンテナンスが難しい場所には、高品質なフェイクグリーンでも十分に心理的効果が得られることが分かっています。天井から吊るしたり、パーティションとして活用したりすることで、空間のアクセントにもなります。

自然素材: 本物の木材を使った家具や、石目調の床材など、触感や視覚から自然を感じる素材選びも有効です。

〈FRSオフィス事例〉

BOD様 高知BPOセンター (オフィス内装デザイン事例「efude」)

③「カフェカウンター」で会話を誘発する

コミュニケーションを重視したい場合、カフェカウンターは非常に有効なツールになります。

気軽な会話を促す: 対面で向き合う会議室とは異なり、カウンターを囲んだり横並びになったりすることで、心理的な壁が低くなります。コーヒーを淹れる合間の立ち話など、リラックスした雰囲気でのカジュアルなやり取りが自然に生まれます。

本格マシンの設置: 美味しいコーヒーが飲める場所には自然と人が集まり、部署を超えた偶発的な出会い(セレンディピティ)を生み出します。

演出の工夫: カウンターの上だけペンダントライトで照らすなど、照明にこだわることで「仕事場ではない雰囲気」を醸成し、会話を弾ませるきっかけを作ります。

〈FRSオフィス事例〉

ジーシーシー様 東京本社 (オフィス内装デザイン事例「efude」)

④「可変性のある家具」で多目的に使う

リフレッシュスペースを、時としてイベントやセミナーの会場に変えられるようにしておくと、空間の投資対効果がさらに高まります。

キャスター付き家具: 軽くて動かしやすいテーブルや、連結できるスツールを採用。

カジュアルな雰囲気: 決まったレイアウトに縛られない自由な空気感を作ることで、社員がその日の用途(ランチ会、社内勉強会、プロジェクトの打ち上げなど)に合わせて主体的に場所を使いこなせるようになります。

〈FRSオフィス事例〉

映光産業様 東京本社(オフィス内装デザイン事例「efude」)

まとめ

リフレッシュスペースに「正解」はありません。しかし、今回ご紹介した「多様性への配慮」や「自然の導入」といった視点を持つことで、失敗しない場づくりが可能になります。

自社の課題解決に本当に繋がる環境整備を実現するために、まずは「自社の社員がどんな瞬間に喜びを感じ、どんな場所ならリラックスできるか」を想像することから始めてみてはいかがでしょうか。迷った際は、専門家へ相談しながら、一歩ずつ理想の空間を作り上げていきましょう。

私たちFRSが運営する、オフィス内装デザイン事例サイト「efude」(エフデ)では、目的別での検索に加え、エリアとデザインテイスト別の画像検索が可能です。

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(著:FRS広報チーム)

参考資料

・メンタル不調の影響、年間7.6兆円の生産性損失に —GDPの1.1%に相当と試算(横浜市立大学)

・オフィスビルに対するステークホルダーの意識調査2025(日本政策投資銀行)