
今回のブログは、引き続きオルガテック東京2025のリポート。
前年よりもオフィスにおける「デザイン」の重要性・多様性の高まりを強く感じた今回。無印良品、ニトリやDULTONなど、オフィス家具メーカー以外の出展企業がさらに増えたことで、過去の常識に囚われない斬新なアイデアが次々とマーケットに投入されてくる可能性も感じました。
前編では、コクヨやイトーキなど5つのブースを厳選してご紹介していますが、
後編では、展示の大小に関わらず、展示会場で見つけたユニークなプロダクトやマテリアルなどをピックアップしてお届けしていきたいと思います。
オルガテック東京2025 製品ピックアップ

メトロポリタンギャラリーからは、歴史あるデザインプロダクトの名作の復刻を手掛けるオリジナルブランド「METROCS(メトロクス)」、フィンランドの照明メーカー「INNOLUX(イノルクス)」の照明「スカイフライヤー」などを展示。洗練されたデザインで時代を超えて愛され続けるプロダクト群が、多くの来場者の足を止めていました。

アカプルコチェアは、メキシコのリゾート地で1960年代から愛用されているアウトドアチェアをリデザイン。スチールのフレームにPVCコードを巻きつけたシンプルな構造ながら、クラフトマンたちの手で丁寧に作られた逸品。着座すると感じる身体が包み込まれるような感覚は、PVCコードの特性とのこと。

稲葉製作所は、折りたたみ時の厚みが27mmと圧倒的に薄いデスク「NOMUDA(ノムダ)」を展示。一般の折りたたみデスクと比較して70%省スペースでき、保管・輸送の際に大きなコストダウンが期待できます。重量も11kgと一般の折りたたみテーブルの60%。一般発売は、2025年8月を予定しているそう。

愛知のオフィス家具メーカー「アイコ」が提案するのは、人間工学に基づき、揺れる座面が筋肉を動かして疲れを軽減するチェア。使用者の身長、体重や作業姿勢に至るまでパーソナライズすることが可能だといいます。

ドラフト社が手掛けるプロダクトブランド「201°」。集中ブース「COOM」は、デザイン性、優れた静音性能と機能性を両立。最新作では、飲料用ペットボトルを原料とした再生ポリエステル糸を100%使用しているそう。

すでに定番となったファミレス席も、デスクの天板と脚を一体化させ柔らかい曲線を描くことで、温かみのある空間を演出することができます。

こちらも会場で注目を集めていた透過ディスプレイ。モニターとして使用のみならず、画面に直接文字を書くことができ、来場者を驚かせていました。


内田洋行のブースでは、オフィスの稼働状況を可視化して生産性の向上・コミュニケーション活性化に役立てるアプリケーション「スマートオフィスナビゲーター」、より魅力的なプレゼンテーションを実現する原寸大表示が可能なソフトウェア「リアルサイズプレゼンター」など、家具以外にもDX関連プロダクトが多数展示されていました。


主展示で「旅する小説」と称したテーマパークのような体感型ブースで連日長い行列をつくったコマニー。特別企画の展示エリア「BORDERLESS」にはアウトドアワークセット「Mile(マイル)」を展示。開封するとチェアに早変わりする「チェアリュック」内には、折り畳み式のミニデスク、シェード、シートを収納可。リュックひとつで場所を選ばずワークスペースができあがる秀逸なアイテムです(※通常販売については詳細不明)。
オルガテック東京2025 目を引く素材使い


福井発の老舗オフィス家具メーカー、井上金庫販売がオルガテック東京2025に展示したのは、笏谷石(しゃくだにいし)のプロダクト群。笏谷石は、福井県足羽山(あすわやま)周辺で採掘される緑色凝灰岩で、古代からの火山灰が固まって生成されるそう。水に濡れると青色に変化することから「越前青石」とも呼ばれ、その希少性と美しさが重宝され、神社仏閣などにも用いられてきたといいます。近年はコストや品質の差異、加工の手間などの問題で出番は減ってきていることから、志を同じくする地場の加工業者とタッグを組み、笏谷石の復活を目論み「asuwa」などのコレクションを展開しています。


井上金庫販売からは、コンテナオフィスの展示も。ワーケーション関連のプロダクトは数あれど、快適なオフィス空間をまるごと移動させてしまおうという発想は斬新で目立っていました。なお、コンテナの牽引は普通自動車で可能な設計になっているとか。もはや暮らせそうです。


愛知県岡崎市を本拠地とする前田技研は、3Dプリンターを駆使したプロダクト群を展開。オリジナルブランド「FuuBi(フウビ)」は、3Dプリンターで製造することによって原材料使用量を最適化、また、原材料には自然由来の材料、廃棄材料を掛け合わることによって環境負荷低減に成功しています。

プロダクトの多くは、トヨタ車体が開発した、スギ間伐材と樹脂を組み合わせた射出材料「TABWD」が活用されています。


福岡県発のインテリアメーカー、イケヒコ・コーポレーションは、日本の伝統素材「い草」を現代風に再解釈した新ブランド「grassy(グラッシー)」を展示。古来から耐久性や消臭・調湿効果に定評のあるい草は、畳に代表される温かみや落ち着きといった日本古来の空間が想起され、都会的な趣とは対極のイメージを抱きがちですが、「grassy」は見事に新しい境地を提示。都会的、洗練、高級感といった新しい雰囲気を纏っていました。


黒板やホワイトボード、関連製品を展開する愛知県のメーカー馬印。同社では、チョークの製造工程で生じる廃材に着目、廃棄ロスを削減しアップサイクルさせる過程を展示していました。
会場を彩った展示 一挙紹介

「ORGATEC TOKYO Awards」において準グランプリ受賞のオカムラ。円形に組まれたブースに約100脚のチェアを展示し、その存在感は大きく異彩を放っていました。

「図書館で本を借りるように」とのメーカーの表現のとおり、一部のチェアは試座することが可能。ブースの構造体は転用可能な素材で構成され、解体後もロスはないとのこと。同社の環境意識の高さがうかがえます。

展示エリアの中央には、カウンターテーブルとチェアが用意され、カウンター内にはオフィスチェアに造詣の深い「チェアマスター」と呼ばれる専門家がおり、裁断した座面に触れながら専門知識の提供を受けることができました。


今回注目された出展のひとつ、自由が丘に構える旗艦店は日々大勢のファンで賑わうDULTON(ダルトン)。無骨な風合いながらデザイン性高い味わい深いスチール家具が大人気です。今回のオフィス向けの展示でもブランドの世界観が全開。スチール製のロッカーや大きなテーブルなど、昨今のオフィスデザインの潮流にもフィットしそうなアイテムが並び、ファンのみならず来場者を楽しませていました。


毎回、来場者を楽しませてくれる、屋外家具の輸入販売を行なうニチエス。今年は会場内にパティオ(スペイン語で「中庭」)を出現させました。トレードマークのひとつハンギングチェアは、今年は複数人載ることのできるタイプも展示されました。


アイリスチトセは、「円(エン)」と「角(カク)」の家具を自由に組み合わせることによって、「集中」、「リラックス」、「コミュニケーション」などオフィスに求められる課題を解決するコレクション「enKAK」を展示。デスクやチェアだけでなく、照明のランプシェードも円と角で構成されており、光の温度感を調整することで一体感のある空間を醸成できるとか。



コロナ禍の鎮静化の影響か、アジアからの出展が例年よりも多かったのも特徴のひとつでした。
まとめ

2回にわたってオルガテック東京2025を特集しました。どの展示からも、独自性や説得力のある熱のこもったプロダクトが提案され、見どころが満載で時間がいくらあっても足りないほど。会場の空気が少しでもお伝えできていることを願うばかりです。
今回掲載した以外にも、秀逸なプロダクトが数多く展示されており、私たちも写真に収めてきました。気になるかたは、当社の営業担当や、問い合わせフォームからご遠慮なくお問い合わせください。また、次は2026年6月2日~4日に開催されることが公表されています。来年足を運ばれたいかたも喜んでご一緒させていただきます。
最後までお読みいただきありがとうございました!
(著:FRS広報チーム)
参考資料
・オルガテック東京2025公式
https://www.orgatec-tokyo.jp/exhibitor