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  • 「いただいた分を森に返す植樹祭」参加レポート

    「いただいた分を森に返す植樹祭」参加レポート

    2023年10月7日、北海道の赤平市で植樹祭が開催されました。植樹祭当日はあいにくの曇り空。東京では、まだ半袖でも過ごせるくらいの気候でしたが、北海道は朝晩冷え込む時期とあって、主催者の取組みに賛同している私たちも、しっかりと着こんで参加させていただきました。

    植樹祭の趣旨は「森からいただいた広葉樹をいただいた量だけ森にお返しする」というもの。私たちが植樹したのは、お客様のオフィスにも納めさせていだいた内装材の樹種「ニレ」と「セン」。今回は、FRSが参加することになったきっかけや、植樹祭の様子をお届けします。

    植樹祭へ参加のきっかけ

    植樹祭は、国産木建材の製造販売を行なう「株式会社ニッシンイクス」が開始した「ikumori」プロジェクトの一環として開催されたもの。

    FRSとの関係は、同社の内装材をお客様のオフィスデザインに採用したことがきっかけです。採用した内装材は、北海道産広葉樹を利用した壁材。FRSが提供する環境負荷低減への取組み「エコワク」の推奨製品の一つです。

    環境負荷低減への取組み「エコワク」

    スクラップ&ビルドにともなう環境への負荷が多いオフィス移転時やリニューアル時の内装工事。FRSではこうした課題に向き合い、サステナブルな空間構築を実現する「エコワク」によるオフィスづくりを推進しています。

    エコワクでは、オフィスを構成する内装材や家具に、環境配慮型の製品を優先して選び環境負荷低減に貢献。地球にやさしいモノを使いながら、働く場のあり方も考え空間づくりをおこないます。

    壁材や床材、オフィスチェアなど、流通する数多くのアイテムから、

    ・環境に配慮された原材料を使用
    ・部品交換が容易で⻑寿命(持続可能)
    ・軽量化し、CO2排出量低減に寄与

    これらの製品を優先して選びます。エコワク推奨製品は、もみ殻を再利用した壁紙や、廃タイル等の再生材料が70%以上の床材、カーボンオフセットした製品、国産木材など、多岐にわたり、ラインナップしています。どれくらいの割合を環境配慮型の製品にするかは、求めるデザインや機能とのバランス、コスト面を見ながらお客さまと一緒に選んでいきます。

    エコワク盾

    エコワクでは、オフィス構築時に導入した環境配慮への取組みを見える化する盾をお客様にお贈りします。盾にプリントされたQRコードを読み取ると、導入したエコワク推奨製品、一部の製品ではCO2削減量の証明書などを閲覧することができ、来訪者や求職者への印象付けや会話のきっかけ、社員の環境意識の向上につながることが期待できます。

    今回の植樹のきっかけとなったのが国産木材を使った製品。国産木材の利活用は森林保護やCO2排出削減に貢献します。

    国産木材を利用すること

    政府は2050年までに、温室効果ガスの排出量から吸収量を差し引いて実質ゼロにするカーボンニュートラルを目指すことを宣言しています。その対策の一つとして注目されているのが、国産木材の利活用。

    日本では、戦後の復興需要から多くの植林を行ないましたが、その後安くて使いやすい外国産の木材が多く使われるようになりました。現在でも、国産木材の自給率は4割程で、多くを輸入木材に頼っています。当時の植林によって生まれた人工林は、木材として利用可能となっているのにもかかわらず、伐採されず放置されいます。

    森林は本来、若い木を間引いて成長を促し、成熟した木を伐採し新しい木を植えるという「森林サイクル」が円滑に回ることで持続的に循環します。
    木はCO2を吸収しながら成長し、一定まで成熟するとCO2の吸収量が少なくなるため、適切に伐採がおこなわれない人工林ではCO2の吸収量が低下してしまうのです。しかし、国産木材が利活用されなければ適切な伐採は行なわれません。国内の人工林の多くが手入れをされず放置されている現在、森林サイクルを円滑に回していくためには、需要をつくっていくことが必要なのです。

    また、伐採された木材は、吸収したCO2を蓄えます。CO2排出量低減には、長く使用する木製品として加工することで、CO2を固定化することも重要です。

    国産木材の利活用は林業の活性化による地域の経済発展や、輸入木材よりも輸送エネルギーが少ないことによるCO2削減に貢献するというメリットもあり、持続可能な社会の実現に大きく貢献します。

    使った分だけ森にお返しする「ikumori」

    ニレ (PRODUCT  ikumoriプロジェクトより)

    「ikumori」プロジェクトとは

    天然木建材の製造販売会社であるニッシンイクス社は、フローリング材や壁材など「自然」や「本物」にこだわった製品を数多く送り出しています。同社が2021年12月にスタートさせたのが、

    「森からいただいた広葉樹を、いただいた量だけ森にお返しする」

    を掲げて商品づくりをする「ikumori」プロジェクトです。

    ikumoriでは、北海道の広葉樹の個性をいかしたフローリング、パネリング(壁材)を販売し、製品に使用された木材量に見合う本数の広葉樹を北海道で植林します。木材利用のために伐採した跡地に植林しつつ、次世代が使うことのできる森林もつくっていくことで、森林資源の持続可能性や森の多様性に貢献する取り組みです。

    なぜ広葉樹を植えるのか

    「ikumori」では広葉樹を使い、長い年月から生まれる木の模様を活かした製品づくりをおこなっています。
    広葉樹は豊かな表情や質感、木目の美しさなどからインテリアとしても非常に人気が高い一方で、国内自給率が低く、多くが海外からの輸入に依存しています。

    広葉樹は、針葉樹と比べて成長には年数がかかるうえ、幹が枝分かれしやすいために林業として成り立ちにくい側面があります。戦後の復興需要から大量に植樹されたのは、成長が早い針葉樹であり、現在、日本の人工林のほとんどを占めています。そのため、国内産の広葉樹材を使用する場合は、自然更新した広葉樹に頼るしかなく、自然の持続性は大きな課題となっていました。

    限りある資源を大切に使い、使った分は木を植えて森にお返しをするのがikumoriの考え方。
    ikumoriでは、製造過程でも環境へ配慮し、樹木の成長過程で生じる大きな節や杢(もく)、斑といった、従来は欠点として廃棄されがちな部分も、意匠として製品づくりに活かし無駄なく木材を使っています。

    また、広葉樹の中でも冬に葉を落とす落葉樹を使用しています。葉を落とすことによって、土壌を豊かにし、微生物や昆虫や鳥、哺乳類など多くの生き物を育む落葉広葉樹の森をつくろうとしているのです。

    FRSのikumori製品採用事例は、ニッシンイクス社によるインタビュー記事で詳しくご紹介しています。

    オフィス空間における環境配慮型製品の導入傾向とikumori製品採用事例(ニッシンイクス)

    北海道での植樹祭参加レポート

    植樹祭は、2021年11月から毎年開催しています。今年から春と秋の年2回に増やしプロジェクトを拡大。今回私たちが参加したのは第4回目の植樹祭。植樹祭の開催地は、旭川空港から1時間ほど車を走らせた北海道赤平市です。

    今回は、FRSを代表した2名が参加させていただきました。

    植樹祭には、ikumori製品の導入企業をはじめ、地元出身の国会議員や共同主催の木材製造販売会社など60名以上が参加。苗木には、落葉広葉樹のナラ、ニレ、セン、イタヤカエデの4種類が用意されました。

    開会式では、「北海道は伐採後の植樹率が日本一高いが、そのほとんどが針葉樹であり、広葉樹はほぼゼロである」という事実も。参加した広葉樹の植樹が、未来をつくるための重要な取組みであることを再認識しました。

    その後、植樹手順のデモンストレーションがありました。縦横30センチほどの穴をカンタンに掘っているように見えましたが…。

    いざ掘ってみると、まるでスコップが入りません。スコップに全体重を乗せながら少しずつ要領をつかみ、ようやく苗木が充分入る大きさまで穴を掘ることができました。

    想像していたよりも、ずっと小さく華奢な印象の苗木。これから降る雪や、シカやウサギの食害の影響で、すべてが成長できるワケではないのだそう。成長過程で間引きなどもおこなうため、最終的な生存率を2割と仮定し、使用する木材の5倍以上を植えるのだそうです。

    苗木の根に土をかぶせ、足で踏み固めながら苗木を上に引っぱります。仕上げに鹿よけのネットをかぶせ、木の杭でしっかり固定したら完了です。

    隣のエリアでは、今年春の植樹祭で植えられた苗木が葉をつけていていました。植樹エリア一帯に広がる広葉樹の赤ちゃんたちは、長い年月をかけて成長していきます。大きく育った姿を私たちは見ることが出来ませんが、こうして植樹された木は未来の資源になります。

    限られた天然資源である広葉樹を使った製品を使いながら、次の世代の資源としてしっかり繋げていく。まさにikumoriは「豊かな未来」をつくっていく壮大なプロジェクトなのだと分かりました。

    まとめ

    「限りある資源を大切に使い、使った分は木を植えて森にお返しをする」というのがikumoriの考え方。植樹祭を通し、FRSが普段からお客様にご提案している国産木材製品が、貴重な天然資源であることを実感するとともに、森林を育てていくことの重要性を再認識しました。

    植樹祭への参加やブログでの発信を通し、植樹祭の輪を広げていけるよう、これからも、エコワクの取組みの一つとしてikumoriプロジェクトを応援していきたいと思います。

    FRSでは、温かみがあり、環境にも人にも良い国産木材を使ったオフィス構築を、オフィスの最適化と合わせてご提案いたします。

    エコワクや国産木材を使ったオフィスについて気になる方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

    最後までお読みいただきありがとうございました!

    (著:FRS広報チーム)