
2026年6月2日から3日間にわたって開催された、アジア最大級のオフィス家具展示会「オルガテック東京2026」。昨年に引き続き、今年も訪問レポートをお届けします。
今年で5回目の開催を迎えたオルガテック東京。初回を除く全4回において、一貫してコアメッセージに据えられているのが「SHIFT DESIGN」です。この確固たる軸をベースに、毎年異なる時代性を映し出すサブメッセージ。今年は、
「To Be One ― 知が響き合い、未来が始まる。―」
が掲げられました。
昨今、リアルとデジタルが混ざり合うワークプレイスが広く標準化されました。どこでも働けるという概念が浸透する一方で、「人と人とのつながり」の重要性が改めて問われており、「オフィスの価値とは?」が経営戦略上の重要なテーマとして議論される機会も増えています。
そうした背景のなか訪れた会場では、展示企業各社がそれぞれの世界観でこれからのワークプレイスを表現。オフィス家具の展示にとどまらず、働く場、コミュニケーション、環境配慮など、様々な視点から工夫を凝らした熱のある発信が強く印象に残りました。
国内外から151ものブランドが一堂に集結した会場は、実に見ごたえたっぷりです。プロダクト一つひとつを見ても、デザインや機能の幅広さに驚かされます。例えば、チェアの脚パーツだけで200種類ものカラーバリエーションを揃えるシリーズがあるなど、選択肢の豊かさを実感。その一方で、各社のこだわりが詰まった唯一無二のデザインに深く感動させられるなど、これからのオフィスづくりへの期待が膨らむ訪問体験となりました。
レポートは2回に渡ってお届けする予定。本ブログでは、受賞ブースを中心に、各社がどんな発信をしていたかをご紹介します。
第一線の審査員が選ぶ「ORGATEC TOKYO Awards」
オルガテック東京2026のコアテーマ「SHIFT DESIGN」を体現し、優れたデザイン性を発揮したブースを称える「ORGATEC TOKYO Awards」。今年も会場の大きな注目を集めるなか、開催されました。
建築・インテリア・デザイン分野の第一線で活躍する審査員たちが、独自の視点で厳正な審査を行う本アワード。今回、見事グランプリに輝いたのが「オカムラ」の展示ブースです。オカムラは、「出展社が選ぶベストブース賞」も同時に受賞し、圧倒的な支持を集めての二冠を獲得されました。
「グランプリ」 オカムラ ※「出展者が選ぶベストブース賞」W受賞
「準グランプリ」 コクヨ
「準グランプリ」 カリモク家具
「準グランプリ」 DeVorm
それでは、まずはオカムラの展示から、注目の受賞ブースを順番にご紹介していきたいと思います。
オカムラ

オカムラのブースは、「やあ、まざりつながる働き方」をコンセプトに生み出された家具「YAA」のパネルで構成。高さの変化や柔らかな曲線が印象的で、時折「YAA」(やあ)という声が響き渡る展示ブースは列をつくり大盛況でした。

入り口で配られる手のカタチをしたうちわを掲げ、展示スタッフと「やあ」と挨拶をするとステッカーを貼ってもらえます。そんなユニークな演出を楽しみながら、「YAA」シリーズを始めとしたオカムラ社の家具が創り出す空間を進んできます。

「社内外の壁も緩やかに超えて、人と人が活き活きと交流する空間をつくる」とメッセージを発信している本製品。照度を落とした会場では、パネルの曲線と間接的な光が際立ち印象に残る空間を演出していました。まさにプロダクトのコンセプトを体感できる素晴らしい展示です。



座り心地の良さそうな新製品のチェアが、「YAA」で構成する流れるような空間にみごとにマッチし、まさに「こんなオフィスで働きたい!」と思うような空間。

「YAA」はオカムラの新しい家具カテゴリ「Blending Furniture(ブレンディングファニチュア)」として発売されています。複数の個性を混ぜ合わせて新たな力を生み出すという意味を込めているとのこと。コーヒーにもブレンドならず「ブレンディングコーヒー」という文字が!
コクヨ

コクヨ社は、照明を抑えた会場に映える、光に包まれたようなブースを出展。「Find your experience.」をコンプトに、ものづくりへの姿勢を来場者が体験できる展示です。タイプの異なる3種類のチェアを展示し準グランプリを獲得しました。

一つめのチェアは、発売10周年を迎えるロングセラーの「Duora2」。骨盤を支える「ペルビックアジャストサポート」機能を初めて実装したチェアで、S字姿勢を保ちやすいと解説いただきました。一番売れていますとのこと。

もう一つは、チェアが体に追随して動く「ing Cloud」。初代「ing」は座面が360°あらゆる方向に揺れ動き、座りながら体を動かせるチェアということで私たちに驚きを与えてくれましたが、「ing CLOUD」はさらに進化したイメージ。圧倒的な耐圧分散で、座っていることすら忘れるという、、、、。
実際に座りながら、どこまでも体の動きについてくる感覚に思わず「おぉー」となりました。世界で最も権威のある国際的なデザイン賞の一つRed Dot Design Award 2026において、イノベーティブデザイン部門で最高位となるBest of the Bestを受賞しています。

そして3つ目が、この展示会で世界初公開となる次世代チェアのプロトタイプを展示。「SEAMLESS ONE ひとつづきの感覚。」とうたっています。調整幅は過去最大、従来は実現できなかった半立位の姿勢まで、あらゆる姿勢や体格に追従するとのことです。
イントロダクションエリアから順番に見て回り、コクヨ社の椅子づくりへの真摯な姿勢を体感できる展示でした。
ABWが浸透し、オフィスチェアはシェアして座るケースが劇的に増えました。今回展示の「Duora2」も「ABW時代のオフィスチェアー」と発信されていたのが印象的。様々な体格やシチュエーションに応じ、どんな人にもフィットする椅子がこれからも益々求められていくのではないかと感じました。
カリモク家具

カリモク家具社は、木の美しさとぬくもりを活かした家具づくりをしている木製家具メーカー。
展示コンセプトは「More is (so much)More」。
木を加えれば、空間はもっともっと豊かになるというメッセージです。
モジュール家具「スタッコ」を400個以上、間仕切りとして活用している展示ブース。これは同社が愛知県に構える工場併設のオフィスの設計思想や導線、家具の選定ロジックを改めて再構築し、ワークプレイスへと転用できるモデルケースとして構成しているそうです。
同社の展示ブースは昨年も特別賞を受賞していますが、趣のことなる今回も「木の豊かさを感じさせるモジュール什器による空間構成。シンプルでありながら、空間のつながり方に大きな可能性を感じさせる展示。」と称され、準グランプリを受賞しています。

パーツを組み合わせ、多様なセッティングが可能な家具「キャストールロビーソファシステム」。廃棄予定のシューズを原材料にしたソファシリーズである「ASICS EDITION」仕様の特別モデルで展示していました。

前脚のない斬新なデザインが印象的な「ピレウスチェア」。最大3脚までスタッキング可能とのこと。

帽子のようなデザインの「キャップチェア」は、座面が回転することに皆驚くそう。椅子を引かずに座ることができ、多様なシーンにマッチするプロダクトです。昨年の展示にはなかったブラックカラーが好評と説明いただきました。

このキャップチェア、幅広いカラーの組み合わせとバリエーション、コンパクトだけど印象に残るフォルムに心を奪われ、昨年の展示会ブログでもご紹介をしていました。メタリックに見える背もたれも木の塗装仕上げだそう。何度見てもステキ。

美しいデザインのテーブル「スペクトラムハイST 190」は、4~6名ほどでスタンディングなどの打合せを想定し設計されているとのこと。一見すると、驚くほど天板が薄くスタイリッシュに見えますが、よく見ると中央に向かってなだらかに厚みが増していく構造になっていました。
DeVorm

今回初出店で準グランプリを受賞した「DeVorm(デフォルム)」。オランダ発のブランドで、鮮やかなイエローを基調とした空間演出が会場でもひときわ目を引きました。
製品のパーツに使用されているPET Feltの原料には、60%リサイクルペットボトルが使用されているとのこと。環境配慮製品であり、かつ色展開も豊富。PET Feltは11色、脚のカラーはなんと200色あるので、組み合わせで企業オリジナルの一脚ができそうです。
吸音性とデザイン性を両立したパネルも展示されており、昨今のオフィスの音問題にも活躍しそうなプロダクトだなと感じました。

フェルト地ですが、硬くしっかりとした触り心地で形状もさまざま。

ベーシックカラーからビビットなカラーまで、豊富な色見本もおかれていました。
まとめ

今回のブログでは、受賞企業の出展ブースをリポート。各社がそれぞれの世界観をみごとに作り上げ、ワークプレイスを軸とした自社のメッセージを力強く発信していました。
近年、働き方が大きく変化する中、オフィスは単なる執務空間ではなく、企業価値を最大化する重要な要素であるという認識が広まりました。
人が出会い交わること、集中すること、ここちよい空間であることなど、さまざまな視点や発想でオフィス提案されていた各社の展示からは、まさに企業価値の最大化を実現するためのアイデアやヒントをたくさん得ることができました。
次回の第二弾ブログでは、面白いプロダクトの紹介など、展示会で出会ったワクワクするものたちをご紹介していきたいと思います。
(著:FRS広報チーム)
