
労働人口の減少などを背景に、企業において生産性向上や合理化が求められる昨今。加えて、急速に進んだ働き方の多様化、新たなツールを活用しながら柔軟に組織を適合させていくことが、企業にとって喫緊の課題となっています。
その中でも、社内での合意形成や、課題解決に向けた議論のために開催される社内会議の生産性向上は重要なテーマとなっています。会議には主に、
- リアルで行なわれるもの
- Web会議システムを利用して行われるもの
- リアルで集まりつつWeb会議を併用するハイブリット
などが挙げられますが、Web会議システムの活用でフレキシブルな働き方を実現しつつも、会議自体の質の向上には着手が出来ていないという企業様も多いのではないでしょうか。Web会議システムといえば、日米のトップランナーである「ZOOM Meetings」が、無料アカウントでの1対1のミーティングでは従来時間無制限だったものを、2022年7月15日から40分制限を設けたのも記憶に新しいところです。
さて、今回取り上げるテーマは、その社内会議の救世主となるかもしれない画期的サービス。
IFP( Interactive Flat Panel )
と呼ばれる、いわゆる「電子黒板」です。CVTE社、シャープ社、Microsoft社、RICOH社などが優れたプロダクトをリリースしていて、メーカーによっては、IWB(Interactive Whiteboard)とも呼ばれています。IFPは現在、会議の生産性向上・合理化を実現させるツールとして大いに期待を集め、Web会議市場の伸長とともに、そのマーケットを拡大し続けています。

従来IFPは、学校教育の現場で導入が進んだサービス。
2019年閣議決定され推進されているGIGAスクール構想によって、先進国内で後れをとっていたICT(情報通信技術)教育(※1)が、一般に浸透しつつあります。
それらの教育を経たリテラシー高めな学生たちが入社してくる時代は、すぐそこまで来ています。就職した先でのIT環境が学生時代よりも劣っていると、入社後の従業員エンゲージメントにも影響するかも…
今回のコラムで、そんなIFPについて理解を深めておきましょう。
- ※1教育現場におけるICTとは、校内LAN環境を整備し、タブレット端末、プロジェクター、IFPなどのデジタルデバイスを駆使して行なう教育を指します。
社内会議の課題とは

さて、巷の企業では、どのくらいの時間を社内会議に割いていて、どのような課題がありそうなのでしょうか。
それを紐解いていくために、2018年に公表された「パーソル総合研究所」の調査結果が非常に分かり易く整理されています。まず、役職を大きく3段階に分けたときの、年間に費やす社内会議の時間について表しているのが以下の図です。

この図にある時間には、社外関係者との会議や商談等は含まれていません。係長級でメンバー層の約2倍、部長級ではさらに係長級の1.5倍の時間を社内会議に費やしていることが分かります。
これだけの時間を割いているとなると、「その社内会議は本当に必要なものなのかどうか?」と心配になりますね。パーソル総研の調査でその点についてもヒアリングしています。その結果は、
メンバー層で23.3%、係長級以上の層で27.5%が「会議にムダが多い」と感じている
という結果でした。この調査ではさらに掘り下げており、「そのムダとは、いったいどんなものなのか」についても調査しています。それによると、
1.会議が終わっても何も決まっていない
2.終了時刻が伸びる
3.些細な議題で会議を開いている
これらがもっとも会議のムダに繋がっている、とのこと。さらに、「ムダ感」を余計に感じさせる要素が、
- Web会議の普及
- 議事録の作成
これらの存在であるとしています。
前者については、社内会議の遠隔参加者は画面の文字などが見えにくく、おざなりになりがちなこと、さらにはWeb会議システムの映像・音声などの接続トラブルや、議論に参加するときの間の取りにくさ等があるのではないかと推察されます。
また、後者は、会議中に議論に参加しながら議事を取るか、会議後にホワイトボードの写真を撮って後から議事録を起こすかの二択が一般的ですが、いずれも作成担当者にとっては決して少なくない労力に…。目に見えにくい会議時間と考えることができます。
さて、IFPはこれらの課題について、どのように解決してくれるのでしょうか。次章でその機能に迫っていきたいと思います。
IFPにできること
画像協力:株式会社MAYA SYSTEM

この章では、実際にIFPにいったい何ができるのかについて、大きな2つの特長から各機能をピックアップしてご紹介していきたいと思います。
1.高解像度カメラ&高集音性マイクが搭載

従来のWeb会議では、利用する様々な機器同士を接続するところから始まるので、会議の開始までにセッティングを済ませるのが意外に大変といった声もよく聞かれます。IFPには、高解像度カメラと高集音性マイクが搭載されていることで、以下のような声に対する答えを提示しています。
—— リモート会議に参加する前には、モニターやマイクのセッティングなど面倒
高性能なスピーカーやマイク、カメラが内蔵されているため、セッティングの手間は不要に。電源オンで起動するだけで使用開始できるので、準備に時間がかからず素早く会議を始められます。

—— 音声や映像が途切れたり、エコーがかかったりするのが煩わしい
高収音性能を持つマイクと高解像度カメラにより、まるで隣にいるかのような映像と音声で遠隔参加者ともリアルにつながり合えます。メーカーによっては、マイクと発言者の距離に応じてAIがスピーカーの音量を適切なレベルに調整してくれる画期的な機能を搭載したものもあります。
—— PCやモニター、マイクなど接続するとケーブル類が増えて見た目もきたなくオフィスのデザイン性が損なわれる
PCとワイヤレス接続を実現したプロダクトが多数リリースされています。専用のコントローラーを使うなどして、カンタンに接続するPCを切り替えていく機能を持つものも。遠隔地からの参加者がVPN接続し直接IFPを操作できるプロダクトもリリースされています。

2.ホワイトボード機能

社内での会議で課題や数値を記録していったり、ブレインストーミングでアイデアを書き込んだり付箋を貼ったりして脳内を整理したりと、ホワイトボードは大きな存在感を発揮する有難いアイテム。しかし、Web会議においてホワイトボードを活用すると、遠隔で参加するメンバーは文字が見づらいため、理解不足のまま会議が進行してしまうということも少なくありません。
各Web会議システムのオプションにあるホワイトボード機能は、「画面が見にくい」、「使い勝手が良くない」など、あまり利用されていないようですが、IFPの持つホワイトボード機能なら、あらゆる作業が画面上でカンタンに。例えば、以下のような声に対して答えを提示しています。
—— リモート参加だと、リアル会議のようなホワイトボードを利用したアイデア出しや情報共有が難しい
各端末から付箋などのデータや画像を瞬時に送信してIFPに反映させることができます。投影した画像やホワイトボード機能には双方向で書き込みができるので意思が正確に伝わり、アイデア出しもリアル会議と遜色なくスピード感を落とさないで進めることができます。さらに、書き込みしたデータのみを保存しておくことも可能です。

—— 実際のホワイトボードでは、書くスペースがなくなって困ることが多々ある
IFPでは、タッチパネルの操作で画面の拡大・縮小や、上下左右に移動させるのも自由自在。画面上のデータは、ファイル出力したり、参加者に送信したりするのも思いのままです。

—— 議事録作成が面倒
もう議事録作成の役割を押し付け合う必要はありません。ホワイトボード機能では、そのままデータ保存・送信したりすることができるので、議事録として流用すればOK。また、会議終了時に保存したデータは、次の会議でそのまま呼び出して使用することが可能、スムーズに議論が再開できます。

ホワイトボードの内容を撮影する従来のやり方ではなく、データをQRコードで共有し議事録に
各メーカーごとに細かな機能は実装されていますが、これらがIFPに備わっている代表的な機能です。
さいごに

今回のコラムでは、IFPについてご紹介してきました。
高性能な映像、音声システムを持ちつつ、遠隔での会議参加でもリアルと遜色ない意思疎通を実現できるIFP。
働き方が多様化した昨今において、会議の質を上げ、生産性向上や合理化に一役買ってくれるツールとして期待を集めているのも頷けます。
通常のモニターと比較すると導入コストは高くなりますが、助成金を活用できるケースもあるようです。通常モニターとしても使えるIFP、モニターの導入をご計画の際に検討してみてはいかがでしょうか。
具体的な製品情報や選び方について情報収集したい、デモンストレーションを受けて実機をさわってみたい、などご要望がございましたらご遠慮なくFRSまでお問い合わせください。
最後までお読みいただきありがとうございました!
(著:FRS広報チーム)
参考資料
・テレワーク下におけるWEB会議利用に関する日米調査(PRTIMES)