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  • 「キイノクスオフィス」とつなぐ、企業と森の持続的循環

    「キイノクスオフィス」とつなぐ、企業と森の持続的循環

    地球温暖化防止が地球規模の重要課題となっている昨今。木質資源を木造住宅や建築物などとして利用することや、化石燃料の代替エネルギーとして利用していくことは、目指すべき低炭素循環型社会の実現に向けた重要な課題のひとつです。

    持続可能な社会の実現に向けた取り組みとして、FRSでは、「エコワク(eco×work)」という取り組みを行なっています。

    ロゴをクリックすると詳細資料が開きます

    エコワクは、オフィス構築時の環境負荷を低減しながら、働く場のあり方を考慮し、最適化したオフィス空間づくりを実現する取り組み。そんな私たちの思想にピッタリと合致する素晴らしい製品群を展開しているのが、今回ご紹介する「キイノクス」です。

    国産木材の流通および利活用を促進する「キイノクス」の取り組みは、昨今大きな注目を集めています。そんな「キイノクス」について、このコラムで知っていただきたいと思います。

    国産木材が注目されている理由わけ

    国産木材が大きな注目を集めている理由について、整理してみましょう。

    2020年度の「木材自給率」は41.8%と、前年対比4.0ポイント上昇しています。木材自給率は2011年以降10年連続で上昇していますが、この数字は自然発生的なものではなく、関係省庁、林業従事者や社会貢献意識の高いディベロッパーをはじめとした企業、そして消費者行動の結果もたらされたものです。

    日本の森林面積は約2500万ヘクタールで、日本の国土の67%です。国土に占める森林の割合を示す森林率では、フィンランド、スウェーデンに次いで世界第3位(農林水産相公表資料より)。これだけの森林を有するにも関わらず、木材の過半数を輸入に頼っているのです。

    さらに、近年注目されている背景にあるのは「ウッドショック」と呼ばれる現象。

    ウッドショックとは
    ウッドショックは、1990年代、2000年代に続いて、今回は第3次と言われています。今回の契機となったのは、コロナ禍。アメリカ国内で、コロナ禍からの景気回復とリモートワークの定着などによって、住宅需要が急増、アメリカ国内での木材需要が急増しました。そこに追い打ちをかけたのがロシアのウクライナ侵攻。世界全体の木材輸出量の21%を占めるロシアへの経済制裁によって、輸入が難しくなりました。その結果、世界中で木材の奪い合いとなり価格が高騰、2021年4月頃8万円台だった輸入木材価格は、2022年4月時点では14万円台。その後も高水準のまま推移しています。

    このことにより、いよいよ過半数を輸入木材に依存するわけにはいかなくなってきたというわけです。

    国産木材を使うメリット

    さて、輸入木材の入手が難しくなったとはいえ、国産木材はその代わりを務めることができるのでしょうか。まずは、国産木材を使うメリットを整理してみましょう。

    自然災害を防止するのに役立つ

    日本の山林が整備されていることは、自然災害の防止につながります。樹木から落ちた枝や葉が、雨による地表の浸食を防ぎ、樹木の根が地層に張り巡らされることで、地盤がより強固になって地滑りを防いでくれる効果が期待できるためです。
    国産木材への需要が保たれ、適度に流通することが、立ち木を適度に伐採し整然とした状態を保つことにつながり、結果的に自然災害の発生を未然に防げるというわけです。

    日本の気候には日本の木材が最適

    日本の気候は、夏は蒸し暑く、冬は乾燥して寒く、一方で穏やかな気候の時期も。加えて降雨量も多いなど、変動が大きいという特徴があります。そのような環境で育った国産木材は、環境に適応するための抵抗力を持っているため、風雨や害虫に強く、耐久性に優れています。
    抵抗力が備わっていない輸入木材の場合、防腐剤や消毒剤によって環境から木材を守る必要があり、場合によっては、それらの薬剤がアレルギー反応を引き起こすこともあります。国産木材からなるプロダクトは、その点でも安心できるというわけです。

    このように、国産木材には大きなメリットがあることが分かります。

    一方で、国産木材の流通量が、輸入木材のそれを上回らないのには何か理由があるはずです。障壁となっているのはいったいどのようなことなのでしょうか。

    国産木材の流通が滞る要因は何か

    流通量や所在地が不透明

    建築の大小に関わらず、オンスケジュールでのプロジェクト進行は最優先事項のひとつ。流通量・在庫所在地が分からなければ、納入時期を算定することができず、作り手の手配も出来ません。このままでは、国産木材が流通しないのは必然かもしれません。
    国産木材を有効活用するためには、需要者側のニーズに応えられるよう安定供給できる体制構築が大切。そのためのソリューションとして注目されているのが、ここでもDX。現在、複数の国内企業で、適時在庫把握から発注、出荷の指示や流通業者との連携等、デジタルテクノロジーを駆使した試行錯誤が繰り返されています。

    木材乾燥が難しい

    原木を建築材として使用するためには、原木の状態から、乾燥材と呼ばれる状態まで乾燥させなければなりません(注1)。乾燥材の基準は、含水率20%以下。例えば、スギやヒノキは山林での立ち木の状態の含水率は150%と言われます。これを基準以下まで落とすのが、じつは高難易度。
    数十年前までの木材乾燥は、建築過程で工事施工者が自然乾燥させるものでしたが、近年、経済合理性を求めて建築工期が短縮される過程で、その役割は木材提供者へとシフトしました。この時代の変化に木材提供者が乗り切れなかったのが、国産木材が活用されない大きな要因のひとつとも言われています。
    乾燥には天然乾燥と人工乾燥がありますが、前者は半年から一年の月日を要するため、現在流通する木材のほとんどは、人工乾燥によるもの。設備にはいくつかの種類がありますが、短期間で効率よく乾燥させる設備の導入には、大きな設備投資がともなうため、二の足を踏む木材提供者も多いと言います。

    • 注1乾燥させないまま住宅用の建材として使用した場合、完成後に自然乾燥していくことになります。木材は、乾燥の過程で、変形・収縮で、曲り・反り・割れが生じるため、この変形や収縮の度合いが大きいほど、家の構造に大きな歪みが起き、大きな事故が発生する可能性も。また、木材は含水率が下がるほど強度が増すため、乾燥は非常に重要です。

    以上のように、課題は残されてはいますが、近年のテクノロジーの進化により国産木材の抱える課題は解消に向かいつつあります。また、輸入木材の高騰によって、輸入木材と国産木材の価格差が縮まってきたのも好材料。

    このような背景から、国産木材が一層注目を集めているというわけです。

    キイノクスとは

    キイノクス(KIINNOX)とは

    キイノクスは、国産木材の利活用および流通を促進させる事業活動を通して、森林を始めとした自然環境・地球環境の保全、地域経済の活性化、我々の心身の健康といった社会的課題を解決することを目指すプロジェクトを象徴するブランドです。キイノクスは、

    [KI(木)]×[INNOVATION(革新)]×[X(掛け合わせ&未知への可能性)]  

    の三つの言葉を組み合わせた造語です。(「キイノクス」公式Webサイトより)

    キイノクス プロジェクトとは

    (クリックで拡大)

    キイノクス プロジェクトは、キイノクスの理念に賛同する企業の共創による事業活動です。国産木材流通の効率化、そしてその利活用を促進する事業活動を通じて、日本の森林の価値を高め、関わる事業者/人を豊かにする仕組み(社会システム)を創ること、そして地球環境/地域経済/豊かな生活といった様々な社会的課題の解決を図ることを目指しています。

    また、事業推進において各プロジェクトが同じ理念のもと活動できるようにするため、商品やサービスを購入される方々に活動の意義や国産木材の価値を広く知っていただくために、ブランディング活動も推進しています。

    以下に、キイノクス プロジェクトの一つである、キイノクス オフィス プロジェクトについて紹介します。

    キイノクス オフィスプロジェクト

    キイノクス公式Webサイトより

    「キイノクス オフィスプロジェクト」は、国産木材の流通・利活用を異業種企業の連携により促進する事業です。繰り返し使える木製品と仕組み×森林環境の保全で、持続可能な企業成長と地球環境の保全に貢献することを目的に、国産木材を活用したオフィスプロダクトやパッケージの提供を行なうプロジェクトです。

    「森」にも「人」にも「会社」にもやさしいサスティナブルなオフィスパッケージ「KIINNOX OFFICE Sustainable Package」は、オフィスのデスク、キャビネットやエントランスなど、国産木材を使用した厳選アイテムからなるオフィス内装パッケージ。複雑な工事をともなわずに置くだけでオフィスが完成し、その後も繰り返し再利用できます。組み立て・解体がカンタンなので設置工事費用や、移転時の原状回復費用を削減することが可能なだけでなく、廃棄材が出ないため環境にも非常に優しいパッケージです。

    キイノクスオフィシャルカタログより抜粋(クリックで拡大)

    また、プロジェクトの一環として、販売したプロダクトが固定するCO2の量、さらに販売量に応じた植樹を行なうことでC02の吸収を目指します。CO2固定量と植樹により今後期待されるCO2吸収量を合わせて、キイノクスオフィス導入による貢献量の可視化のために、「カーボンニュートラル貢献量証明書」が発行され、購入者に手渡される仕組みが用意されています。

    カーボンニュートラル貢献量証明書のサンプル

    このように、製品化(使う)から植樹(植える)に至るまでの一連の持続可能な取り組みが一体となっているのがキイノクスなのです。

    FRSでは2022年10月25日に、本コラムに関連する業務提携のリリースをいたしました。

    ニュースリリースPDF(2022年10月25日) 

    当社ではこの取り組みに寄与・推進するために、国産木材を使用したオフィス家具等の提供を積極的に行ってまいります。ご興味ある方は、当社営業担当にぜひお声かけください。

    次に、「キイノクス オフィスプロジェクト」のラインナップから、いくつかのプロダクトをピックアップしてご紹介します。

    KIINNOX OFFICE PRODUCT

    フリーアドレスデスク(国産木材×スチール)

    ワークブース(国産杉材)

    島型キャビネット(国産杉材×スチール)

    間仕切りキャビネット(国産杉材×スチール)

    ベンチシート(木曽ヒノキ合板)

    小会議室テーブル(国産杉柾目材)

    置くだけフローリング(表面材:オーク)

    パーテーション flow(国産杉材)

    置くだけデスク天板 WOWBLE(国産杉材)

    さいごに

    大切な森林を持続させるためには、「森林と木材利用のサイクル」(植える→育てる→使う→植える)を回し続けることが必要。このサイクルが機能してはじめて、国産木材が再生可能な資源となります。

    国産木材の利活用は、サイクル維持のための欠くことのできない要素。さらに、国産木材の輸送・加工工程等における炭素排出量についても考慮することで、低炭素循環型社会の実現に大きく貢献することができます。

    今回のコラムを読んでいただき、キイノクスの理念に共感いただけるかたがひとりでも多く増えますように。

    最後までお読みいただきありがとうございました!

    (著:FRS広報チーム)

    参考資料

    ・キイノクス公式Webサイト

    ・林野庁オフィシャルWebサイト 

    ・木材流通・販売(林野庁) 

    ・木材がない!“ウッドショック”原因は?新築への影響は?(NHK首都圏ナビ)