災害時の防災備蓄品は整っていますか

皆さんの会社では、災害時への対策は万全ですか。

様々な調査データから、南海トラフ、首都直下地震、東海地震、などの可能性が示唆されており、そうなれば東日本大震災以上に都市部に影響が出ると考えられます。

2011年の東日本大震災以降、企業、地域、商業施設での防災のあり方や防災対策が注目されています。

防災対策に関して、東京都は「東京都帰宅困難者対策条例」、神奈川県は「神奈川県地震災害対策推進条例」をそれぞれ制定し、義務化はされておりませんが、できるだけ企業で地震対策や防災備蓄を揃えるよう呼び掛けています。

備蓄は、コストとスペースが必要なため、必要だと分かっているものの後回しになりがち。今回は、そんな防災備蓄に関して分かり易くまとめました。

防災・備蓄品の基礎知識

① 備蓄は何日分、どれくらいの量が必要か

社員数×3日分 ※社員数:雇用形態問わず全員分。余裕があれば、来客用も考慮して+10%ほど、多めに用意があるとよいです。

① 備蓄は何日分、どれくらいの量が必要か

3日分の社員数分(+10%) ※社員数:雇用形態問わず全員分余裕があれば、来客用も踏まえて+10%程多めに用意があるとよいです。

② 水の確保について

水を確保する量の目安は、1日あたり1人3L(2L:飲料水/1L:生活水)です。オフィス内で自動販売機やウォーターサーバーを設置している場合は、その分も計算に入れましょう。また、ライフラインが停止後、場合により配水車が来ますので、ウォータータンクがあると定期的に水の確保が可能です。

③ ライフラインが停止後、どれくらいで復旧するのか

被害状況によってさまざまです。悲観的にみて、1ヶ月程ライフラインが止まった場合を想定しておくのが良いとされています。

④ 震災後の帰宅に関して

東日本大震災後の東京は、地震発生後都内の交通網のほぼ全てが停止しました。震災時の混乱から多くの人が帰宅を試みたため大量の帰宅困難者が発生しました。むやみに出歩く事で帰宅途中の二次被害の可能性も考慮し、東京都ガイドラインでは従業員が施設内に3日程留まるよう、促しています。

備蓄品の準備

初動備蓄

地震などが発生し、避難・救助に必要な備蓄として、重要度が高いものをご紹介していきます。

ヘルメット
工事現場用ヘルメットももちろん災害用として使えますが災害用は物が飛んでくる、落ちてくる、あるいは墜落による危険を防止するなど災害時に想定される事故に対応して作られています。選定する際は「飛来・落下物用・墜落時保護用」のものを選ぶと良いでしょう。折り畳み式商品も出ておりますのでコンパクトに大量の保管が可能です。

移動式救助工具セット
救助や脱出時に使う工具。体の一部が家具などに挟まれてしまった際などに役立ちます。

明かりの確保(ランタンや懐中電灯)
電気が止まる事と想定して、ランタンや懐中電灯を用意します。明かりの色も暖色系、蛍光色系とありますので使用用途、使用場所に応じて使い分けます。

救急セット
救助活用中や活動後に利用する救急セット。軽度の怪我に対応できます。

その他
・簡易用トイレ
・排泄物廃棄用ゴミ袋
・衛生用品(体拭きシート、歯磨きシート、女性用品、ウェットティッシュ等)
・毛布など寒さをしのげるもの
・軍手
・ラジオ
・モバイルバッテリー
・常備薬
・調理器具(カセットコンロ、ボンベ)
・乾電池

滞留備蓄

災害発生後、数時間から数日間の間に必要な備蓄品です。

主食
アルファ化米、パスタ、うどんなど主食となるものを用意します。昨今はいろんな種類の味がありますが、比較的味が濃く出来ているため水分が欲しくなりがちです。水分とのバランスも考えて購入が必要です。

おやつ
昔からの代表的なおやつは乾パンですが、最近では長期保存が可能な羊羹、お餅、ビスケットなど種類は豊富です。補食として活用できます。

その他
スープ、みそ汁、温めずにそのまま食べられるおかずなどもあると良いでしょう。

<ポイント!>
3年・5年保存非常食セットなどが販売されていますが、セットの中身それぞれの商品で賞味期限が異なる事も。しっかり中身の賞味期限を確認するようにしましょう。また、缶詰は長持ちして便利ですが、重量があり、かさばるうえ、災害時に捨てるのも大変なので、できるだけパック式のものを選ぶと良いです。

備蓄品 保存・管理 方法

・災害用備蓄品を社内に保管・管理する方法
準備した備蓄品を社内で保管する場合、1ヵ所に集中させず、数ヶ所に分けましょう。保管場所が災害の影響を直撃した際に、せっかくの備品を活用できない可能性があるためです。

・個人用(1日分の食糧や救急セットがまとまったもの)を配布する方法
最近では、必要最低限1日過ごせるよう個人配布用のセットも販売されています。熊本地震を経験した企業の中には震災後、利便性を重視し個人配布用を採用した企業もあったそう。

備品は、用意するだけで満足してしまいがちですが、実際の災害時にすぐに取り出せて活用できるかどうかが大切です。周囲の環境やオフィスの構造などに合わせて、準備しておきましょう。