
働き方の多様化が叫ばれるようになって久しく、従業員が出社することにも一定の動機付けが必要となっている昨今。快適なオフィス空間の構築・維持は、それらを左右する一因としてもより重要視されています。
そこで今回ご紹介するのは、空間ごとの用途・効果の最大化に貢献する、スライディングウォール。空間を仕切るだけでなく、変化する働き方に対応する多機能かつ薄型の製品も発売されており注目を集めています。
本ブログでは、スライディングウォールをタイプ別に整理し、オフィス空間に導入するメリットや、導入前の心得について解説していきます。
目次
スライディングウォールとは

(移動パーティションドライビングパネル展示用)
スライディングウォールとは、可動式の壁の位置を操作することによって、目的に応じた空間をつくり出すことができるパーティション。使用しないときは、所定の位置にコンパクトに収納することができます。メーカーごとに呼称はさまざまで、移動パーティション、移動式間仕切り、スライド式パネルなどなど。
スライディングウォールは、天井のレールなどによって可動域が制限されていることでスムーズな動作や遮音性能などを実現しています。そのため、一般にキャスター付きの置き型のパーティションは、スライディングウォールには含まれません。

ポイントは、専門家による操作をともなわずに実現できる手軽さ、操作性に加えて、実現したい空間に合ったプロダクトを選択できるバリエーションの広さ。
スライディングウォールのメリット
① 自由に空間をコントロールできる
月次など、頻度の少ない大規模な会議のためだけに常時広いスペースを確保しておくのは、経営資源の無駄遣いというもの。
スライディングウォールは、大きな空間を小さく区切ったり、逆に広げたりできるのがもっとも分かり易いメリット。不使用時にはセミナールーム、大会議室などとして空間活用でき、使用時には小会議室や小規模な会議、面談ができるなど、参加者の人数や目的によって必要な広さをコントロールすることができます。
目的に応じた空間調整ができることで、面積効率が上がりオフィス賃料の削減効果が期待できます。
② 豊富なラインナップ
スライディングウォールは、素材・機能とも豊富にラインナップされており、組み合わせ次第でまったく異なる空間をつくり出すことができます。
会社独自の価値観、従業員の働き方や会議室の使用用途の傾向などから逆算してプロダクトを選定していくことで、もっとも効果の高いオフィス空間の実現に貢献します。
たとえば、ガラス素材のスライディングウォールはデザイン性に優れ、光や景色を遮らないため開放感も得られます。採光性の高い明るい空間では生産性の向上が期待でき、オフィス内に開放的な空間があることは、従業員同士のコミュニケーション活性化にも貢献します(カーテンの使用などでプライバシーの確保も可能)。
③ 操作がカンタン
スライディングウォールを動かすために、特別な技術や工事などは一切必要ありません。力の弱い人でも操作しやすく、短時間で目的に応じた空間をつくることができます。
また、手動での操作が難しい場合には、電動も用意されています。使用頻度や予算に応じて、適切なプロダクトを選定していきましょう。
スライディングウォールのタイプ
スライディングウォールは目的に合わせて選べるようにさまざまなタイプがあります。ここでは、特に選ばれることの多い3つのタイプについて、その特徴や選定時の注意点などを解説していきます。
① スタンダードタイプ

もっとも一般的なスライディングウォールは、スタンダードタイプと呼ばれます。日常的に使用される小会議室や中会議室の間仕切り壁を、スタンダードタイプを活用することで、セミナーやスクールに適した大空間へ変更が可能です。
パネルの厚さが60~70mm(厚みが増すごとに価格が上がります)、軽量で操作性もスムーズなので素早く空間をつくれます。このタイプは、オフィス、病院、公共施設や催事場など、さまざまな場所で広く普及しています。必要な広さのスペースを素早く作りたいニーズにもっとも合致します。
防音性能の高いプロダクトは、設置面の圧接機構とパネルがしっかり嵌合(かんごう)、素材にゴムシートなどを使用することにより高い遮音性を実現しています。機密性の高い情報がやり取りされる会議室をつくりたい場合には、スタンダードタイプを活用しましょう。
② ガラスタイプ

スライディングウォールには、パネルの全面または一部がガラス製のガラスタイプもあります。枠の素材も多様で、組み合わせによってさらにデザイン性が向上します。
稼働できるガラス製パネルによって空間を仕切ることで機密性を実現しながら、採光性を保持し、視覚的な開放感を共存できるのは、ガラスタイプの最大のメリットといえます。
ガラスタイプは、スタンダードタイプと比べて遮音性に劣る傾向があります。適度な遮音性を持つプロダクトも登場していますが、特に音漏れが気になる場合には、スタンダードタイプを選ぶことをおススメします。
③ 薄型タイプ

現在、特に注目されているのが薄型タイプのスライディングウォール。主にワークスペースに用いられるアイテムです。
薄型タイプは、一般的なスタンダードタイプよりも薄く、素早く緩やかに仕切り空間をアレンジできる点が強み。パネルの厚みは15mmほどで軽量のため操作性に優れ、収納時のスペースも削減できます。
薄型タイプには、完全に間仕切りをせず、目隠し的な用途で使えるものも。
・ブレストやアイデア出しの際に、素早くアクティブなミーティングスペースを作りたいとき
・周囲の意見も取り入れやすい開放的な打合せスペースをつくりたいとき
・周囲の視線を遮り、適度なプライベート空間を素早くつくりたいとき
・オフィスデザインのアクセントにもなる、可変性のある空間づくりをしたいとき
・新たなアイデアを生み出せるような環境をオフィスに取り入れたいとき
こんな場合に、薄型のスライディングウォールが大活躍します。
単独で使用したり、何枚か並べて使用したりと、フレキシブルなアレンジが可能です。ホワイトボードやフェンスボードなどを付け替えられるものもあり、ワイヤーバスケットやフックを付ければ、こまごましたものの収納にも重宝します。
コミュニケーションが促進される開放的な空間を維持しながら、適度なプライベート空間が作れる薄型タイプは、オフィスの課題解決に一役買ってくれます。
Lives Slide Panel(オカムラ)

ライブススライドパネルは、丸みのあるフレームと大型の一輪キャスターからなるカジュアルデザインの移動パネルです。天井に取付けられたレールに沿って簡単に移動可能で、自由な位置に設置できます。ホワイトボードやフェンスボードなど豊富なオプションを取り付けることで、単純に空間を仕切る壁としてだけではなく、機能壁としてもご利用いただけます(Lives Slide Pane 公式サイトより)
周りの目線をゆるくさえぎる役割を果たしながらも、ホワイトボードとして活用したり、小物を備え付けたりと多機能なのが、ライブススライドパネル。急に決まったミーティングの前に、この大きな車輪を転がしながら運んでいく光景は、自然と参加者を明るくポジティブな気持ちにさせてくれそうです。
スライディングウォール設置時の心構え
ここでは、スライディングウォールを設置する際の心構えについて解説していきます。
① 工事費用は高めに見積もっておく
スライディングウォール本体の取り付け工事費以外に、予備費を含めて多めに予算を確保しておきましょう。
なぜなら、スライディングウォールの設置にともない、天井設備の移動工事や付帯する配管・配線工事が別途発生することがあるためです。
特に注意したいのが、重量のあるパネルを選んだ場合に、天井ボードよりもさらに上にあるスラブに固定しなければならないケース。一般に、スラブに関する工事は、建物のオーナーが指定する業者によるB工事となるために、工事費用が高くなる可能性があります。
② 現地調査は入念に行なう
レイアウト計画時、無理なく取り付けられるかどうかを入念に確認しましょう。天井ボードがパネルの重量に耐えられるのかどうか、天井裏の設置工事が必要な場合にはダクトなどの設備が通っていないかなど、充分に現地調査を行なったうえで計画していくのが大切。
天井裏の状況によっては、スライディングウォールを設置できない場合があるため、当初の計画では設置が難しい場合、レールの設置位置を変更や、追加工事を行なうなどが必要です。
まとめ

スライディングウォールは、豊富なラインアップの中から、会社の独自の価値観や従業員の働き方、使用傾向・頻度などに応じて選定することができ、カンタンな操作でオフィス空間を自在にアレンジできる優れものです。
ただ、前述のように注意点や心構えを忘れてはなりません。適切な方法で理想の環境を実現していくためには、やはり専門家のアドバイスがあったほうが無難。
当社では、さまざまなお客様にスライディングウォールを導入いただいた実績もあります。少し先のお話でも結構ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。
最後までお読みいただきありがとうございました!
(著:FRS広報チーム)