ICTツールとは? 働き方改革への活用事例を紹介

働き方の多様化や労働人口の減少が進行する中、中小企業にとっても働き方改革は喫緊の課題になっています。そして、この働き方改革を推進するには、多種多様なICTツールを活用することが欠かせません。そこで本記事では、働き方改革で活用できる代表的なICTツールやその活用事例を分かりやすく紹介します。

ICTツールとは

ICT(Information and Communication Technology)とは、日本語で「情報通信技術」を意味します。つまり、ICTツールとは情報通信技術を活用して仕事や日常生活などをサポートするシステム・アプリケーションもしくはデバイスのことです。メールやSNSなどの一般的なコミュニケーションツールもICTツールの一種に含まれます。以下では、ビジネスで活用されるICTツールの中でも特に働き方改革と関連の深いものを紹介します。

Web会議ツール

Web会議ツールは、インターネットを介して音声や映像を通信し、遠隔地にいる相手とコミュニケーションを取れるツールです。電話と違って相手の顔が見えるので、対面に近い感覚で話ができます。ビジネスでは、ミーティング・商談・研修・面接などが主な活用例です。

Web会議ツールでは、自分の映像を送るだけでなく、チャットなどの機能も使って多様な手段でコミュニケーションができます。たとえば、自分が閲覧・編集している資料が相手にも見えるように画面共有したり、オンラインホワイトボードにリアルタイムで参加者が自由にアイデアを書き込んだりすることも可能です。Web会議ツールを活用することで、移動にかかる時間やコストを気にすることなく、遠方の相手と情報交換できるようになります。

チャットツール

チャットツールは、テキストメッセージを使ってリアルタイムなコミュニケーションを可能にするツールです。チャットツールでは、メッセージの送受信、ファイルの添付、トピックごとのスレッド作成などが可能です。

チャットツールを使うと、ひとつの画面内でこれまでやりとりした一連のメッセージを確認できます。送受信したメッセージはリアルタイムにそこへ反映されるので、遠隔の相手とテンポよくテキストでコミュニケーションしたい場合に有用です。スマホアプリに対応しているものも多いので、場所を問わずに簡単に利用できます。

チャットツールは、特にテレワーク中などでコミュニケーション不足が懸念される場合におすすめです。活用することで、社内の情報共有やチームワークを活性化して生産性を向上させると共に、確認漏れや認識のズレによるミスを減らせます。

ナレッジ共有ツール

ナレッジ共有ツールは、社内外で知識や経験を共有することを支援するツールです。代表的なものとしては、マニュアル作成ツールや社内wikiなどが挙げられます。こうしたツールにより、従来紙ベースで蓄積・共有されていた情報がデジタル化され、どこからでも確認・共有可能になります。

デジタル化の恩恵として、情報の検索が容易になることや、動画などの多様な手段で情報を伝えられることも大きなメリットです。中にはタスク管理機能を持つものもあり、そうしたツールを使えば、チームメンバーそれぞれのスケジュールや作業状況などを可視化できます。その結果、作業漏れのリスクの軽減や、メンバー間の連携の強化、マネジメント業務の効率化などを実現可能です。

勤怠管理ツール

勤怠管理ツールは、従業員の出勤・退勤時間や休暇の管理などをデジタルで行うためのツールです。たとえば、勤怠データの自動集計、有給消化の管理、休暇の申請、シフト作成なども効率的に処理できるようになります。従業員の勤怠状況や労働時間をシステム画面から一括で見ることができるのも特徴です。

勤怠管理ツールを使う場合、出退勤時間の打刻は、PCやスマホを利用するため、オフィスへ出勤しないテレワーク下で勤怠管理をするケースにも適しています。

電子黒板(IFP)

電子黒板(IFP)とは、黒板ないしはホワイトボードのように自由にメモなどを書き込める大型のタッチディスプレイです。ディスプレイにはカメラやスピーカー、マイクなども搭載されているため、Web会議用の通信デバイスとしても使えます。

電子黒板(IFP)のホワイトボード機能への書き込みは、その場にいる人だけでなく、遠隔でWeb会議に参加している人でも可能です。ここに書き込んだ内容はそのまま保存・送信できるので、会議中にここへ議論のポイントや決定事項などを書き込んでおけば、議事録の作成も不要になります。高性能な映像・音声システムが搭載された電子黒板(IFP)を活用することで、遠隔でもリアルと遜色のない意思疎通を実現し、会議の質や生産性を向上できます。

電子黒板(IFP)については、以下の記事で詳しく紹介していますのでご参照ください。

会議の救世主「IFP」とは

在席管理・フリーアドレスツール

テレワークやフリーアドレスなどの環境下では、誰がオフィスに出勤しているのか、どこで作業しているかなどを把握するのが難しくなります。そこで役立つのが、在席管理・フリーアドレスツールです。

こうしたツールを活用することで、テレワークやフリーアドレス制などを導入しても、従業員がどこで仕事をしているのか簡単に位置情報を確認できるようになります。フリーアドレスのオフィスで、席の予約をしたり空席状況を確認したりすることも可能です。

ICTツールが働き方改革に必須な理由

先に紹介したICTツールは、働き方改革を行う際に重要な役割を果たします。働き方改革では、テレワークなどの柔軟な働き方を推進することが求められます。しかし、従業員が多様な環境で働く中では、マネジメントやメンバー間の情報共有・連携などに問題が起きがちです。また、生産性を下げずに長時間労働を是正するなどの困難な課題にも対処しなければなりません。

その点、ICTツールの導入にはチームワークの強化や業務効率化などの効果があるため、上記のような課題解決に大きく貢献します。特にテレワークでは、電話やメールだけでは不便や不都合が生じがちですが、Web会議ツールやチャットツールなどを駆使することで、多くのデメリットを改善可能です。遠隔での業務やコミュニケーションが可能な体制を築くことは、感染症や自然災害などへのBCP対策にもなるので、持続可能な働き方の促進にもなります。

上記で紹介した以外にもICTツールには多種多様なものがあるので、自社の課題や目標に照らして、優先順位の高いツールから導入していくことが重要です。

ICTツールを活用した働き方改革の事例

働き方改革においてICTツールはどのように利用されているのでしょうか。以下では、労働時間の管理やテレワーク環境を整備する場面での活用事例を紹介します。

労働時間の管理

2019年4月に改正された労働安全衛生法では、客観的な方法で従業員の労働時間の管理をすることが企業に義務づけられました。労働時間の適正な管理は、長時間労働の是正、有給休暇の取得率向上、時間外労働に対する割増賃金の適正な支給など、働き方改革を可能にする前提条件になるためです。

こうした課題に対して、勤怠管理ツールを代表とするICTツールが役立ちます。勤怠管理ツールを用いれば、在宅勤務やフレックスタイム制など、多様な働き方を推進しながらも効率的に勤怠管理できます。また、Web会議やチャットなどのリアルタイムに遠隔コミュニケーションできるツールを活用することも、各従業員の勤務状況を把握するために役立ちます。

このように、ICTツールによって労働時間の適正管理を実現することで、長時間労働の是正や多様な働き方の推進が可能です。

どこにいても働きやすい環境へ整備

働き方改革の代表的な施策のひとつには、オフィス以外の場所からも柔軟に働けるテレワークの整備があります。ここでもICTツールの活用が不可欠です。

まず、タスク管理ツールとナレッジ共有ツールが、テレワーク環境でも組織的に働ける基盤を形成します。これらのツールを用いることで、どの業務が誰により進行中で、どの程度進んでいるのかを共有可能です。また、業務に必要な情報をデジタル化し、どこからでもアクセスできるようにすることで、仕事を効率的に進めやすくなります。

また、Web会議ツールやチャットツール、電子黒板(IFP)などのコミュニケーションツールを活用することで、オフィス外でも従業員間の意思疎通をスムーズに行えます。会議や打ち合わせをリアルタイムにオンラインで実施でき、必要な情報を即座に共有可能です。

働き方改革を推進するためには、各企業は様々な課題をクリアする必要があります。その際に活躍するのが、ICTツールです。社内の環境に応じて適切なツールを選んで導入することで、効率的に働き方改革を進められます。

まとめ

ここで紹介した種類に限らず、働き方改革に役立つICTツールは多種多様に存在します。ICTツールを導入する際には、自社の課題やニーズに即してツール選びをすることが重要です。FRSではオフィス内ICT設備機器類を提案や保守サービスを提供しています。働き方改革に伴ってICT環境の整備をする際には、ぜひご相談ください。

最後までお読みいただきありがとうございました!

(著:FRS広報チーム)

参考資料

・PR TIMES【データから見る企業実態調査】(パーソルHD) 

・労働者を雇用する事業主・人事労務担当者の皆さまへ(出雲労働基準監督署)