オフィス照明のLED化によるメリットと実施方法の解説

2022年以降、全国的に電気料金が値上がりを続けています。世界的な燃料価格の高騰や新興国のエネルギー需要の高まりなどにより、私たちの支払う電気料金に反映される燃料費調整額が大きく影響を受けたことなどが原因です。

さらに、2023年6月には大手電力会社10社中7社が、電気量料金単価の値上げを実施。政府の負担緩和策(2023年8月現在)により料金水準は抑えられてはいますが、燃料価格の高騰を引き起こす世界的なエネルギー危機は現在も続いており、企業の負担にも直結する電気代がこれからどうなっていくのか注目せざるを得ません。

今回は、電力消費を抑えコスト削減に効果的なオフィス照明のLED化について取りあげます。賃貸オフィスに入居している場合も、オーナー資産だからと言ってLED化を推進できないわけではありません。

効率的な省エネ対策の一つと言われるLED化について、そのメリットや方法について解説していきます。

コスト削減に効果的「オフィス照明のLED化」

従来のオフィスでは蛍光灯が主流でしたが、東日本大震災を機に節電効果の高いLED照明の需要が拡大。CO2排出削減にもつながるLED化を政府が推し進めたこともあり、現在住宅分野では新築に導入される照明器具のすべてがLEDとなっている一方、既存の賃貸オフィスビルでは、まだまだ従来型の照明器具をそのまま使用しているケースも多く見受けられます。

節電効果を得られれば、ランニングコストの削減になります。オフィスでは実際にどれくらいの削減効果を得られるのでしょうか。まずは、オフィスにおける電力の消費割合から見ていきましょう。

オフィスの省エネ対策は、取り組みやすい照明から

実際のオフィスの消費電力は何にどれくらい使われているのかを見てみると、最もエネルギー消費が大きいのは33.5%の空調ですが、空調機を入れ替えるとなると大きな設備投資が必要になり大掛かりな工事も必要なため、入念な改修計画なしには実施することが難しいでしょう。

令和4年11月 経済産業省発表データより作成

照明の消費電力の割合は29.8%と、最も多い空調に次いで2番目であることが分かります。オフィス全体の消費電力のうち、約1/3を占める照明の省エネ対策はコストの削減には無視できない存在です。

環境省サイト グリーンナビ/省エネ改修の費用対効果データより作成

空調と照明をそれぞれ更新する際の延べ床面積あたりのイニシャルコストを比較してみても、空調の方が圧倒的に改修コストがかかることが分かります。一方改修後の光熱費の削減額を比較すると、空調の方がやや大きい程度。照明に対する省エネの取組みは費用対効果が絶大です。

オフィス照明のLED化は、入替に伴う作業も比較的カンタン。コスト削減には手間の面からみても取り組みやすいLED照明への切り替えから始めるとよいでしょう。

オフィス照明のLED化によるコスト削減効果

オフィス向けのLED照明は直管蛍光灯に比べ1/3の電気量に削減することができるといわれます。では、実際にLED化によりどのくらい電気代が抑えられるのでしょうか。

仮に、2023年8月現在の値上がりピーク時の電気料金単価36円で、一般的なオフィス(※1)の場合を試算してみると、一般的な40Wタイプの蛍光灯一本の月の電気料金は380円(※2)であるのに対しLEDでは104円(※3)となり、直管1本での差額は276円となります。

例えば、100坪のオフィス面積で160本を交換するとなると

276円×160本数=44,160円

月々の電気代を抑えることができます。

※1. 1日の使用時間12時間 土日休み年間稼働240日の場合
※2. 10.56kwh(使用電気量)×単価1kwh36円(電気料単価)
※3. 2.88kwh(使用電気量)×単価1kwh36円(電気料単価)

LED化は、実は照明による消費電力を下げるだけではありません。蛍光灯と違い熱の放出が少ないため、空調における消費電力の削減も期待できます。LED照明に切り替えることで、特に夏場は冷房による電気代の節約という副次的効果を得られる可能性があります。

節電だけではない「LED化」のメリット

寿命が長い

LED照明の寿命は40,000~50,000時間と言われています。仮に一日10時間使用したと仮定すると10年以上使える計算になります。蛍光灯は使用状況にもよりますが6,000~12,000時間ほどなので、LED照明は蛍光灯に比べ寿命が最低でも3倍以上長いということです。長寿命のため、取り替えの手間と買い替えコストを減らすことが可能です。

明るくなるまでの時間が短い

LED照明は、発光の応答時間が非常に短くスイッチを入れると瞬時に点灯します。蛍光灯は点灯消灯の繰り返しで点灯までに時間がかかるようになったり、寿命が短くなったりしますが、LED照明ではそのような心配がありません。

紫外線を放出しない

LED照明は、蛍光灯とは異なり紫外線が含まれません。そのため、ポスターなどの掲示物や社内展示物が紫外線によって色あせてしまうことを防ぐことができます。また、紫外線を含まないことで虫が集まってこないことも特徴です。

くっきり鮮やかに見える

照明は、ものの見え方にも影響を与えます。LED照明の明かりは鮮やかに見え、さらに使用を続けても暗くなりにくいという特徴があるため、従来の蛍光灯からLED照明に切り替えることに、より細かい文字がはっきり見え、色が鮮明に見えるようになります。作業効率のアップも期待でき、オフィス環境改善をしたい場合にも効果的です。LED化は照明環境の質を向上させ、働きやすいオフィスへと改善できるというメリットがあります。

環境貢献にも

地球環境への貢献は、すべての企業が取り組むべき喫緊の課題です。蛍光灯をLED照明に切り替えるメリットは、企業の経済面だけではありません。下記に挙げたように、環境にも多様なメリットをもたらすため、身近なところから取り組める環境貢献としてもオフィス照明のLED化はおススメできます。

  • 省エネによりCO2の排出量を抑えることができる
  • 寿命が長いため、廃棄を減らすことができる
  • 蛍光灯管に含まれる水銀が、LEDには含まれないため廃棄処理が容易

LEDへの切り替え方法

オフィスのLED化にはどのような工事が必要か

家庭では、一般的に電球が使用されています。その場合、LED照明への変更は、LED電球を照明器具本体に設置するだけで済むのですが、オフィスで一般的な直管蛍光灯では工事が必要となります。従来の蛍光灯の場合、電球と異なり安定器が照明器具についています。これは蛍光灯が点灯する為の電圧と点灯を継続させる為の電流を維持するものです。そのままLED管を付けてしまうとショートしてしまうため、安定器を通さないようにする必要があるからです。

  • 安定器が付いた照明器具ごと取り外す器具交換
  • 電気が安定器を通らないようにするバイパス工事

オフィスのLED化に伴う工事は上記の2つの方法に大別されます。

前者は器具ごと取り外し、新しいものを取り付けるため、照明全体が更新され安心感がありますが、工事も大掛かりになり、その分コストも高くなります。

一方、後者のバイパス工事は安定器を通らないように配線し直す工事であり、器具交換を伴わないため費用を抑えることができます。工事も比較的カンタンで、大型なオフィス面積の場合でも、1~2日程の工事期間で実施することが可能です。その上、器具の廃棄も不要なため環境負荷も少なくて済みます。

LED照明に交換する際のポイント

ビルオーナーの許可をとれば、テナントによるLED化も可能

賃貸オフィスの場合、オーナー資産だからと言って既存照明のLED化をあきらめる必要はありません。工事が必要となりますが、LED化自体がビルの資産価値向上や環境貢献になることから、オーナー側もLED化に積極的なケースが多く、テナントの費用負担であれば、事前に相談することで問題なくLED化を実施している事例が数多くあります。

LED化の推進にあたっては工事が伴うため、トラブルを防ぐためにも必ずオーナーに許可を取ってから進めるようにしましょう。

オフィス環境改善にも

オフィス空間は、照明の明るさを変えることで雰囲気を一新させることができます。LED照明は光源が発する光の総量を表す「ルーメン(lm)」という単位で表記されます(光束ともいいます)。LED化の際には、希望の環境を実現できる明るさのものを選ぶとよいです。また、照明の色味によって集中やリラックスなどの効果も期待できます。LED照明は色味にもバリエーションがあるので、空間の目的に沿って照明の色味に変化を付け生産性を高める工夫もできます。

オフィス内装がシックな色使いのデザインであるため、明るさが足りないと感じられ、LED化により明るい照明に切り替え生産性向上を図られた企業様の事例もあります。LEDへ入替えをする際は、事前にどのような空間にしたいかを明確にし、あとは専門家に明るさと色味の選定をしてもらうことをおススメします。

より環境に優しいLED照明「Re:Shine(リシャイン)」

消費電力を減らしCO2削減ができる環境にやさしいLED化。電源内蔵の直管LED照明「Re:Shine(リシャイン)」は、さらに大きく環境に貢献できる製品です。

・リユースで生まれ変わるLED照明
「Re:Shine(リシャイン)」は、約84%が再利用可能なリユース製品です。使い終えた後は回収、分解・清掃・部品交換を行いリユース製品として再設置することができ、廃棄物を最小限に抑えます。再利用することにより、廃棄にかかるCO2を削減することが可能で、直管40W形100本につき廃棄時にかかるCO2を約11.5㎏削減。

・製造時のCO2排出量も削減
環境に配慮した製造工場でつくられている「Re:Shine(リシャイン)」。福島県喜多方市にあるLED製造工場はISO14001/ISO09001を取得しており、環境へ配慮された製品の品質は高い水準で均一化されています。工場ではCO2排出量実質ゼロの電気を使用、さらに電気以外のエネルギーをカーボン・オフセットしているため、製造工程における実質CO2排出量がゼロとなっています。

環境に大きく貢献するLED照明「Re:Shine(リシャイン)」は器具交換をしないバイパス工事で導入可能。大掛かりな工事を必要とせず、イニシャルコストも抑えられ経済的。また高効率電源を内蔵しており高い省エネ効果を発揮します。

環境省が提唱する「中小規模事象者向けの脱炭素経営導入ハンドブック」の中では、CO2排出削減対策の一つとしてLED照明への更新を上げています。身近なところから効果的にコスト削減ができるLED化は、環境面でも大きく貢献できる製品を選ぶことでコスト削減と同時に社会的責任を果たすことにもなります。「Re:Shine(リシャイン)」は地球にやさしく導入しやすいLED照明として、賃貸オフィスビルに入居しているテナント企業様にも大変おススメできる製品です。

ご提案時には、実際にどれくらいのコスト削減が可能であるかを試算表によって把握することができます。現状の使用状況を確認し、費用対効果を知ることができるので、納得したうえで安心してLED化を推進することができます。

ご不明点などがあればお気軽にお問い合わせください。

まとめ

燃料費の高騰や環境負荷低減の重要性を背景に、オフィスではコスト削減と環境貢献が可能なLED照明への切り替えが進んでいます。また、蛍光灯照明器具は製造を終了している製品もここ数年増えている状況です。まずは、現状の電気料金の見直しとして、LED照明への入替えによって得られる削減効果を試算してみてはいかがでしょうか。

オフィスのリニューアルや移転のタイミングでのLED照明への切り替えもおススメしております。

最後までお読みいただきありがとうございました!

(著:FRS広報チーム)

参考資料

・省エネ改修の費用対効果(環境省)

・省エネ節電(経済産業省・資源エネルギー庁)

・中小規模事業者向けの脱炭素経営導入ハンドブック(環境省)