
令和に入って飛び交うことの多い、人工知能、生成AIなどの単語。各メディアで配信される映像や、先端技術に関する成果を観るたびに驚かされることも少なくありません。なかでも、2022年秋頃から特に世界中の議論の的になっている存在が「ChatGPT」。
OpenAI社が2022年11月に公開したChatGPT。日本からのアクセス数は、2023年4月中旬時点で746万/日に達し、そのトラフィック・シェアはアメリカ、インドに次ぐ第3位。国内でも関心度が高いことが伺えます。
2023年4月に野村総合研究所(NRI)が行なったインターネットアンケート調査では、ChatGPTを知っていると答えた人は61.3%、実際に利用したことがあると答えた人は12.1%だったそう。

今回のコラムでは、ChatGPTに関する情報を整理し、オフィスでの活用についてもご案内していきたいと思います。
目次
ChatGPTとは
ChatGPT(Chat Generative Pre-trained Transformer)は、OpenAI社が2022年11月に公開した人工知能チャットボットで、生成AIの一種。原語の訳は「生成可能な事前学習済み変換器」(Wikipediaより抜粋)。
ChatGPTのリリース以降、アクティブユーザー数1億人に到達するのにかかった期間は、わずかに2か月と史上最速の到達スピードを記録しました(スイスの金融グループUBSの分析より)。このスピードを分かり易く他サービスと比較すると、TikTokが9か月、Instagramが30か月かかっています。その脅威的な到達スピードと同程度だったのが、新型コロナワクチンの接種回数。同ワクチンの世界全体での接種回数は、ワクチンが登場した2020年12月以降、2021年1月末頃にかけて延べ1億回に達したそうです。
ChatGPTは、自然言語生成と呼ばれる技術を活用、人間が理解しやすい自然な文章を生成することができます。インターネット上に存在する大量のテキストデータを収集・学習した情報を、人間との自然な会話から論文形式に至るまで、多くのバリエーションで会話・対話が可能です。
応用できる領域は広く、
・歴史的な出来事やプログラミング、数学などの知識
・小説の続きや台本の作成といったアイデアをともなう文書生成
・テキストの要約・翻訳
なども可能です。そのほか、インターネット検索で調べられる内容全般について回答できます。
ChatGPTに聴いてみた
ChatGPTをさわったことのないかたのために、実際のChatGPTとの会話を例示してみましょう。
はじめに、「ChatGPTについて分かり易く教えてください」とお願いしてみました。

もちろんです!ChatGPTは、OpenAIが開発した人工知能(AI)モデルの一つです。GPT(Generative Pre-trained Transformer)と呼ばれる技術を基にしており、自然言語処理(NLP)のタスクをこなすことができます。以下に、ChatGPTの主要な特徴と用途について説明します。
1.自然言語理解と生成:ChatGPTは、自然言語を理解し、自然な文章を生成することができます。これは、テキストベースの対話や質問応答などのタスクに非常に役立ちます。
2.事前トレーニング:ChatGPTは、大規模なテキストコーパスを使用して事前にトレーニングされています。これ により、さまざまなトピックや言語の知識を持っており、幅広い質問に対応できます。ただし、モデルの知識は2021年9月までのものであり、それ以降の情報は持っていません。
3.対話ベースのタスク:ChatGPTは、チャットボットのような対話型のタスクに適しています。ユーザーがテキストで質問をすると、適切な回答を生成し、対話を継続することができます。これは、カスタマーサポート、情報提供、エンターテインメントなど、さまざまな分野で使用できます。
4.カスタマイズ:ChatGPTは、特定のタスクやドメインに合わせてカスタマイズできます。これにより、特定の業務ニーズに合致したカスタムチャットボットの開発が可能です。
5.応用例:ChatGPTの応用例には、カスタマーサポートチャットボット、教育支援、自動要約、文章生成、翻訳、コンテンツ生成、コーディング支援などがあります。
重要なことは、ChatGPTは機械学習モデルであり、その性能はトレーニングデータとコンテキストに依存します。また、完璧ではなく、誤った情報を提供することもあるため、使用する際には慎重さが必要です。OpenAIは、定期的にモデルを改良し、セキュリティや倫理的な問題に対処するための努力を続けています。
なるほど、非常に分かり易い回答を返してくれます。しかも、この質問に対する回答を表示するまで要した時間は、わずか10秒程度。この質問は、ChatGPTをはじめたばかりの人がしがちな質問なので、特に早い可能性もあります。
次に、だいぶ毛色の違う質問を投げかけてみました。

アイドルや有名な人と結婚することは、一般的には彼らとの出会いや交際が難しいことが多いです。有名人やアイドルはプライバシーを守りたい場合があり、ファンからのアプローチに慎重な姿勢を持つことが多いです。結婚に至るまでの過程は一般の人と同じように、相手との良好な関係を築くことから始まります。以下は、一般的なアドバイスですが、個人の状況や文化によって異なることがあります。
1. 共通の趣味や興味を見つける: アイドルや有名人と共通の趣味や興味を持つことは、出会いのきっかけとなるかもしれません。コンサートやイベントに参加したり、彼らのファンクラブに入会したりすることで、共通のコミュニティに参加できるかもしれません。
2. ソーシャルメディアを活用する: アイドルや有名人はソーシャルメディアを利用してファンと交流することがあります。彼らの投稿にコメントしたり、フォローしたりすることで、コミュニケーションの機会を増やすことができるかもしれません。
3. イベントやコンサートに参加する: アイドルや有名人が出演するイベントやコンサートに参加することで、彼らに近づく機会が得られるかもしれません。ただし、彼らに近づく際にはマナーやプライバシーを尊重することが重要です。
4. 自分を磨く: 自分自身を向上させ、魅力的な人間になることも重要です。自己啓発や趣味の追求を通じて、自信を持ち、魅力を高めましょう。
5. 現実的な期待を持つ: 有名人やアイドルとの交際は非常に難しいことが多いため、現実的な期待を持つことが重要です。彼らも一般の人間であり、プライバシーやスケジュールの制約があります。
最終的には、結婚や交際に至るかどうかは運やタイミングにも依存します。一般的に、健全で相互尊重のある関係を築くことが最も重要です。
すばらしい回答と言わざるを得ません。提示された5つのうち、実現可能性の僅かにある3つの方法を提示したあとに自己啓発の必要性を説き、最後には「現実を見ろ」というニュアンスでシビアに締めくくっています。もはやメンターと言って良いレベルです。
そんなChatGPTは、働き手が減り続ける日本の危機を救う救世主となることができるのでしょうか。
オフィスワークで活用するChatGPT
あらためて、ChatGPTを活用するメリットを整理してみましょう。世界中の利用者の声と、私たちが手元で実際に操作してみた感想を踏まえると、主に以下の5つを挙げることができそうです。
・利便性…24時間365日、いつでも質問ができる
・自然性…理解し易いテキストで回答してくれる
・探求性…直前の文脈を踏まえて質問を重ねていける
・網羅性…どのような分野に対しても回答が得られる
・創造性…クリエイティブなアイデアが得られる
多くの企業がそれらの特性を活かし、メール、資料やビジネス文書の作成・要約・校正や事業のアイデア出し、プログラミングコードの生成まで、あらゆる領域に活用し始めています。行政では、神奈川県横須賀市や農林水産省で活用が開始、または準備が進められていると報じられています。
神奈川県横須賀市では、ChatGPTを全庁で活用実証を行ない、中間アンケートを実施。その結果、80%以上が「仕事の効率が上がる」と回答、60%以上の職員が「今後も使いたいと思う」と回答しています。また、農林水産省は、ChatGPTの一部業務での活用を検討しており、補助金申請のマニュアルなどの改訂や修正に活用し、作業の負担軽減などにつなげたいとしています。
一方で、利用者からは以下のような声も。
・情報の正確性に欠ける場合がある
・情報の鮮度が高くない場合がある
・返答を得るまでの時間がかかる場合がある
ChatGPTでは、サインイン時に「情報の正確性・新旧についてはユーザー側でも確認してほしい」という内容のメッセージが表示されたり、質問に対する回答時にもそれらが含まれていることがあるなど、注意を促しています。
オフィスワークにおけるChatGPT活用のリスクは
オフィスワークでChatGPTを利用する場合、前述した情報の正確性や鮮度などに加えて、主に2つのリスクに注意しなければなりません。
・知的財産権の侵害リスク
ChatGPTは、インターネット上の膨大なテキストデータを学習し続けているため、著作権などの知的財産権を侵害する回答を生成する恐れがあります。それらの回答を利用した文書を公開した場合に、権利者からの訴訟リスクや、社会的信用を損なう可能性があります。
・情報漏えいリスク
また、ChatGPTはユーザーの質問に対する回答を蓄積・学習し続けています。質問内容に個人情報や機密情報が含まれていた場合、それらも開発元(OpenAI社)のデータベースに記録されることになります。すると、まったく別のユーザーが類似した質問をした場合に、それらの情報の一部が誤用されてしまう可能性があるのです。
これらの重要な2つの問題を踏まえ、倫理面で大きな課題があると世界中の有識者から指摘されています。
ChatGPTを安全に利用するための解決策「法人GAI」とは
ChatGPTを安全に利用できるサービス「法人GAI」 は、ChatGPTと同じ言語モデルを利用し、豊富なセキュリティ機能などを備えた、ギブリー社(※1)が提供するChatGPT活用プラットフォームです。2023年4月のリリース以来、有名企業をはじめとした大小の様々な企業、有名大学など多数が導入しています。
※1 ギブリー社は、2009年創業の、世界15カ国以上のメンバー過半数がエンジニアで構成されるテクノロジー企業です。

会話データが学習に利用されない、管理者側で利用状況を把握、IPアドレス制限やNGワードの設定ができるなど、まさに痒いところに手の届いたサービス仕様になっています。

正しく利用することで、ChatGPTはオフィスワーカーにとって仕事を奪っていく脅威な存在ではなく、有能なアシスタントとして存分に価値発揮してくれる強い味方になってくれます。
私たちフォーバルグループ内のタクトシステム社(※2)は、ギブリー社のオフィシャル販売パートナーとして法人GAIを販売しています。ChatGPTのビジネス利用のプロフェッショナル集団なので、導入方法から運用支援、その後の課題解決に至るまでコンサルティングを受けることが可能です。
※2 タクトシステム株式会社は38年前に東京都新宿区に設立。現在はフォーバルのグループ会社として行政・民間企業のGX・DX推進を支援しています。「いつかをイマに、おもいをカタチに。」をコンセプトに、社内業務の効率化やDX化のソリューションをご提供する「ハカドリ」、BtoB企業の売り方をデジタルマーケティングでサポートする「アツマリ」、お客様を行動させるコンテンツを提供する「イロドリ」の3つのサービスをご提供しています。
まとめ
今回は、ChatGPTについて一緒に整理してきました。
ChatGPTをオフィスワークで使うには、とても便利な反面、懸念点もあるので怖い。でも乗り遅れないように着手したい…そのような状況のかたは、実際に触れてみて、テクノロジーを実感してただくのが最良だと思います。導入するかどうかは、そのあと考えてみては。まずはお気軽に、私たちにお問い合わせください。
ウェビナーのご案内
実例でじっくり解説!ChatGPTプロンプト作成のコツ
~営業部門編~
本ウェビナーでは、ChatGPTから期待通りの回答を得るためのコツである「プロンプト」の作成方法について営業部門の業務での実例を使ってじっくりと解説します。また、法人向けChatGPTプラットフォーム「法人GAI」についても合わせてご紹介いたします。
日時:2023年10月26日(木)11:00~12:00
場所:オンライン(ZOOM)
主催:タクトシステム株式会社
本ウェビナーへご参加を希望される方は、下記の〈参加申し込みはこちら〉をクリックいただき、タクトシステム社ウェビナー詳細ページよりお申し込みください。
参加申し込みはこちら
最後までお読みいただきありがとうございました!
(著:FRS広報チーム)
参考資料
・日本のChatGPT利用動向(2023年4月時点)(NRI)