
昨今、企業運営にとって重要となっている地球環境保護、温暖化対策への貢献。令和に入って以降、一層その機運は高まるばかりです。私たちの事業領域に関連深い建材の分野でも、いくつかのメーカーから地球に優しい内装材がリリースされ注目を集めています。
今回のブログでは、日本エムテクス社開催の「塗るデニム体験会」に参加させていただいたリポートを、同社ショールームでの取材などとともにお送りします。
同社が最初にアップサイクル製品をリリースしたのはなんと、2002年のこと。最初のプロダクトは大手マヨネーズメーカーから出る卵の殻の廃材をアップサイクルした建材でした。
目次
日本エムテクス社のアップサイクル製品群

東急田園都市線 駒澤大学駅に本社を構える建材メーカー、日本エムテクス社。
同社は、サステナビリティを意識する人が誰一人としていなかったであろう2002年、大手マヨネーズメーカーから出る卵の殻の廃材を、内装仕上材としてアップサイクルしたプロダクトをリリースしました。

自然由来素材で匂いもない同シリーズは、多くのメディアで好意的に取り上げられ注目を集め、現在では大手総合スーパーの食品売り場などでも目にすることができます。
資源循環型社会づくりに貢献したいという思いが私たちの製品開発の根底にあります。そのために、研究開発、素材選定、各種試験を行い、長期的な環境ビジョンでの「ものづくり」を進めているのです。そこにあるのは、「ものづくり」に携わる様々な人達の情熱と、豊かな技術力の向上を目指す思い。限りある地球資源をできるだけ消費せず、ものづくりを実現するには、どんなプロセスを描くのがいいのか。そして、そのプロセスからどんな素材が誕生し、そのストーリーを一人でも多くの方に語り継いでいただけたら… 私たちの開発現場には、いつもこんな思いが満ちています。
(日本エムテクス社公式サイトより)
その取組みは卵の殻だけにとどまらず、日本中のあらゆる工場から出る廃材のアップサイクルについての相談が絶えないといいます。分かり易い再利用の道を模索し続けている同社のショールームには、ユニークなサンプルが溢れ来訪者を楽しませています。
本社ショールームへ

ショールームは、日本エムテクス社開発のアップサイクル製品の展示のみならず、空間全体の建材も自社製品で構成され、活用シーンがリアルに想像できる場になっています(※ショールームは完全予約制となっていますので事前にお問い合わせください)。
中央に配されたガラス製のショーケースや、周囲を囲むように掲示、または整然と陳列したユニークな建材の数々は、ショールームというよりジュエリーを扱うアトリエか、アーティストの工房といった趣。ユニークな素材ばかりで妄想が膨らみ、時間を忘れてしまうほど感心させられることの多い場所でした。
ショーケースの天板の下のジュエリーボックスのようなケースには、コンパクトなサイズにカットされた原材料などが並んでいました。

何気なくケースについてお尋ねしてみると、なんと、このケースもアップサイクルされたもの。同社がこのビルに入居される前にこのフロアを使用していた音楽関係の入居者が、音を反響させるために天井に何台か設置していた特別なアイテムだったのだとか。あらゆる素材を自然に、機能的に活用する同社の柔軟なアイデアが存分に活かされていました。

ショーケースをはさんで反対側には、アップサイクル素材製の左官材や壁紙のサンプルが整然と展示されています。

卵の殻は多孔質な素材であるために、湿度を調整し、脱臭効果を発揮してくれるそう。まさに、分かり易いアップサイクルで身近で機能的な建材へと生まれ変わっています。


鉛筆工場から排出の木くず由来のボードは、木のとても良い香りを楽しむことができました。

新聞紙由来のボードには、チラシが一緒にプレスされており、カラフルな発色が良いアクセントになり意匠性を高めています。

デニムなのに不燃認定取得「塗るデニム体験会」リポート

2024年9月25日に、日本エムテクス社のショールームで開催された「塗るデニム体験会」。
私たちは、日頃から家具や建材などへの理解を深め、お客様へのご提案の幅を広げるために研修やショールームへの訪問を行なっていますが、今回もその取り組みの一環としてデザインチームが参加させていただきました。体験風景とともに、参加者たちの声をお届けします。
ヌルデニムは、日本国内で洋服製造時に出るという45,000トン/年の端材のうちデニム素材に着目、粉砕しアップサイクルした左官材。接着剤不使用のため、古くなったら水をかけて再度練り直すことで、左官材として蘇ります。研究開発には3年の歳月を費やし、不燃認定を取得しています。

優れたコンセプト、ユニークな質感と発色など注目を集めており、外資系自動車メーカーのショールームや、大手アパレルショップなどでも採用されています。
ヌルデニム左官体験の様子

冒頭でお手本を見せていただいたあと、参加者それぞれが「コテ板」と呼ばれるパレットのようなものにヌルデニムを載せ、いよいよコテを使って壁面に塗っていきます(※専用の下地材が塗ってあるボードをご用意いただいてます)。


トップバッターは、左官経験保有のメンバーから。慣れた手つきでコテを操り、塗り重ねていきます。



ヌルデニムは、初の左官体験の女性メンバーたちにもカンタンに塗布でき、笑顔で体験していました。

参加者全員が塗り終えた壁面の様子。初めてでも一定の均一感で塗布できていることが分かります。


最後に、参加者それぞれに配られたA4サイズのボードに塗布し体験会は終了。ボードは後日、私たちのもとに送っていただきました。今後、お客様にご提案する際に、見本素材として活用することができます。
「塗るデニム体験会」参加者の声
—— 「ゴミ」になってしまう素材を原料としているので、お客様に「サステナブルな社会づくりに貢献できている」という感覚を持っていただきやすい建材だと思いました。また、施工がとてもカンタンだったので、お客様に施工体験をご提案するのも面白いと思います。積極的にアップサイクルに取り組まれる建材メーカーの存在はとても有難く感じます。また、お客様先で出る廃材を用いた建材の製作も可能とのことなので、ぜひオリジナル建材を依頼してみたいです
—— ヌルデニムやエッグタイルは、落ち着いた色味で展開されているのでご提案し易いと思いました。壁やテーブルなど使用用途も幅広く、ヌルデニムはコーポレートカラーが青の企業様にも提案してみたいと思います。自社で出た廃材などを素材に活用できるようになると、エコに興味のあるお客様から積極的に選んでいただけそうだなと感じました。
—— 施工が案外カンタンで、参加者それぞれの仕上がりにブレがなかったので安心してお客様に提案できそうです。エコロジーであるだけでなく、ヌルデニムは布なので吸音効果が高いとのこと、会議室や個室のアクセントウォールに最適だと感じたので積極的に提案していきたいと思いました。大手マヨネーズメーカーの卵の殻やデニムの端材など、私たちにとって身近な製品の制作過程で廃棄されるものに早くから着眼し、日常生活に取り入れやすい製品、且つ意匠性も高くアップサイクルされている事に感銘を受けました。「価値を未来に紡ぐ・未来への懸け橋へ」というビジョンにもとても共感できます
—— いままでも建材の提案や確認の際にショールームを活用する機会はありましたが、実際に手を動かして体験できるのは珍しく、インパクトが大きいと思います。実際にお客様ご自身に塗っていただく機会があればさらに良いと感じました。日本エムテクス様はあらゆるエコ建材の研究に積極的に取り組まれており、活き活き取り組まれている感じが好印象でした。将来、廃材に関するアイデアをご相談した際にも前向きにお答えいただけそうな、頼もしいメーカーさんだと思いました
—— 施工がカンタンなので、クライアント様ご自身にオフィスづくり体験として施工いただくのも良い。広範囲でなくともインパクトがある商材なのでぜひ提案していきたい。オリジナル建材の製作実績が多数の企業様とあるとのことなので、日常の廃材量が多い企業様などには「オリジナル建材をつくって内装材として活かしましょう」という提案も出来そうです
なお、「塗るデニム体験会」は、大阪や仙台など、全国各地への展開も計画中とのことなので、東京以外の企業にとっても朗報ですね。
また、企業単体での体験会実施についてもご相談可能だそうです。
まとめ

今回は、日本エムテクス社開催の「塗るデニム体験会」とショールームをリポートしてきました。
建築領域は多くの廃材をともない、環境保護の取組みにはなかなか合致しにくいと思われがちですが、ヌルデニムや卵の殻由来の建材は、それらの課題を解決する画期的なプロダクトです。しかも、意匠性と機能性も兼ね備えているという優れもの。
私たちは、オフィス構築時の環境負荷低減と働く場のあり方を考え、最適化したオフィス空間を実現する取り組み「エコワク」を推進しています。日本エムテクス社のプロダクト群はまさに、私たちのコンセプトにもピタリと合致していますので、今後も積極的にお客様にご提案していきたいと気持ちを新たにしました。
ヌルデニムやエッグペイントなどは、公式オンラインストアで購入することもできます。
最後までお読みいただきありがとうございました!
(著:FRS広報チーム)