建築ファンも必見!大阪・関西万博2025の基本情報と見どころを紹介

EXPO2025公式サイトより

2025年4月13日、大阪・関西万博2025がいよいよ開会。

当万博は、肥大化する費用や納期の遅れなど、当初から否定的な意見も数多くありました。実際にインドやネパールなど、開会当日に間に合っていないパビリオンもいくつかあり、残念がっている来場者の声も報じられています。

しかし、SNS上の来場者の様子やワイドショーなどからは、予想を遥かに上回る感動や衝撃の声など、ポジティブな反応が相次いでいます。それもそのはず、万博は地球上のあらゆる知識や技術、各国の価値観や歴史などが結集する一大イベント。しかも(賛否さまざまありますが)イベント全体の総工費は2,350億円とも言われています。

総工費を比較してみると、2012年に竣工した世界一高い電波塔「東京スカイツリー」の建設費は約400億円。2014年に全面開業した高さ300メートル、延床面積33.4万㎡、地上60階・地下5階建ての複合ビル「あべのハルカス」は総工費1,300億円。海外に目を向けると、2004年に竣工した地上101階建て、高さ約509mの台湾(台北市)のシンボルタワー「台北101」の総工費は現在のレートで1,800億円。

わずか半年間の開催にかける費用としては破格であることがよく分かりますが、それだけの予算を投下して、地球上の英知が集まる万博。楽しくないはずがありません。しかし、

「興味はあるけど何があるのかよく分からない」
「見どころはドコなのか分からない」

そんな方々は多いのではないでしょうか。今回のブログでは、そもそも万博とはいったい何なのか、大阪・関西万博2025の見どころなどについて、丁寧に解説していきます。

万博とはいったい何なのか

1970年大阪万博のレガシー「太陽の塔」(万博記念公園)

万博(国際博覧会)の歴史は長く、時代や文化を反映したテーマで世界各地で開催されてきました。

その幕開けは、1851年にロンドンのハイドパークで開かれた「第1回ロンドン万国博覧会(通称「大博覧会The Great Exhibition」)」。世界中から25カ国が参加、当時大きな話題になりました。当時の日本は、ペリー来航の2年前です。

当初、万博は時の支配者たちが財宝や戦利品を展示することにより自らの権勢を誇示したり、国威発揚のために開催されていましたが、少しずつその役割は様変わりし、現在では地球の抱える様々な課題を共有・解決する場、さらに参加国それぞれの技術を発表・共有したりする場となっています。

日本と万博の関わり

パリ万国博覧会の様子(Wikipedia Publicdomain(渋沢資料館))

日本は、1862年開催のロンドン万国博覧会に「遣欧使節団」が視察したのが最初の参加。当時の様子は福沢諭吉の「西洋事情」(1886年)のなかで紹介されました。

さらに、1867年のパリ万博では日本から初出展。「徳川幕府」、「薩摩藩」、「鍋島藩」それぞれが独自に出展しています。パリ万博の開催期間は2月27日~10月8日。同年に行なわれた大政奉還は10月14日の出来事でした。

日本国としての公式の初参加は、1873年のウィーン万博です。その後、日本は国際社会において少しずつその存在感を増していきました。今回の大阪・関西万博2025までに、国内での万博開催は6回目を数えます。

大阪・関西万博2025

EXPO2025公式サイトより

万博の開催は、大阪・関西エリアの経済活性化や、国際的な知名度向上に大きく貢献すると大きな期待が寄せられています。大阪府と大阪市は、府域への波及効果を1.6兆円と公表しており、経済産業省による国全体への経済効果の試算は2.9兆円としています。

<大阪・関西万博2025 開催概要>
・開催期間:2025年4月13日(日) ~ 10月13日(月)の184日間
・開催場所:大阪府大阪市此花区 夢洲(ゆめしま)
・アクセス:大阪メトロ中央線夢洲駅(JR大阪駅より25-35分程度)
・チケット:大人6,000円(平日券)/7,500円(会期中いつでも1回入場可)
・テーマ:いのち輝く未来社会のデザイン
・サブテーマ:
 Saving Lives(いのちを救う)
 Empowering Lives(いのちに力を与える)
 Connecting Lives(いのちをつなぐ)

今回の開催地である夢洲エリアはゴミの最終処分場として埋め立てられ、その跡地の利用用途については過去に様々な開発計画が頓挫してきた経緯がある「負の遺産」と呼ばれた人工島。今回の万博開催を契機とした再開発の推進は大阪府の悲願でした。

EXPO2025公式サイトより

大阪・関西万博(EXPO 2025)の会場全体の面積は、屋根リングと呼ばれる木造の円形建築物を中心に東西約159ヘクタールと広大。大屋根リングの内側に海外パビリオンが立ち並び、パビリオンワールド、グリーンワールド、ウォーターワールドの3つのエリアに区分されています。

会場MAP(EXPO2025公式サイトより)

なお、万博会場はすべてバリアフリーで設計され、国際博覧会として初めての試みとなる全面的キャッシュレスが導入されています。

世界最大の木造建築「大屋根リング」

ライトアップされた大屋根リング(EXPO2025公式サイトより)

「多様でありながら、ひとつ」という会場デザインの理念を表しているシンボル「大屋根リング」。最大の木造建築物として2025年3月4日にギネス世界記録に認定されました。その建築面積は6万m²を超え、1周約2kmあります。高さは内側約12m、今回の万博の建造物中でいちばんの高さになっています。その姿はさながら進撃の巨人の壁。ウォール・ユメシマといったところでしょうか。

建築は、日本の神社仏閣などの建築を生業とする宮大工の用いることの多い伝統的な貫(ぬき)接合に、現代の工法を加えて建築しています。この建築手法では、釘を使用しません。この建造物をみるだけでも万博に足を運ぶ価値があるような気もしてきます。

大屋根リングは、会場の主動線としてスムーズな交通を実現し、雨風をしのぎ日差しを遮る役割を担っているだけでなく、内側の海外パビリオンエリアとその他のエリアとを区分する重要な機能を持っています。

木材には、主に国産のスギ、ヒノキが選ばれています。

建築の見どころが満載!海外パビリオンを紹介

Japan Pavilion EXPO2025(日本館公式サイトより)

今回の大阪・関西万博2025がめざすのは、持続可能な開発目標(SDGs)達成への貢献、日本の国家戦略Society5.0の実現。海外から出展している国々の多くは、地球環境に配慮した建築方法を用いてパビリオンをデザインしています。

日本館のコンセプトは、「ごみを食べる日本館」。万博会場内で出たごみが、微生物のはたらきによって分解され、バイオガスとして再生される。その過程をインスタレーションで追体験しながら、プラントで生み出されたエネルギーが日本館を動かすという循環を体感できるパビリオンになっています。

ここからは、万博のテーマ、コンセプトを見事に表現しているパビリオン、且つ現時点では人気が集中していないパビリオンをいくつか紹介していきます。

スイス(Swiss Pavilion)

EXPO2025公式SNSより

スイスパビリオンの公式マスコットは「アルプスの少女ハイジ」。館内の至るところにハイジを発見することができます。

「ハイジと共に、テクノロジーの頂へ」をテーマに掲げ、アルプス文化と最先端技術が共存するスイスの姿を表しているといいます。象徴的なバブルの建築は、軽やかで楽しい雰囲気を演出し、内部では「Augmented Human(人間拡張)」、「Life (生命)」、「Planet(地球)」の3つのテーマを通じて、スイスの創造性を体験することができます。

万博の終了後に解体したバブルは、なんと他の場所でそのまま再利用できるよう設計されているとのこと。徹底的に持続可能性を追求している様子が伺えます。

なお、来場者にはキットカットの限定品が贈呈されるとか。非常に気になります。

オランダ(Netherlands Pavilion)

EXPO2025公式SNSより

江戸時代、鎖国下にあっても長崎の出島で交流を続けた、日本とは関係の深いオランダ。交流の歴史は今年で425年を数えます。循環型コンセプトで造られたオランダのパビリオンの名称は「A New Dawn‐新たな幕開け」。

建物中心の球体は、持続的に利用可能なクリーンエネルギーと日の出が表現されています。この球体の大きさは、1970年の大阪万博で建造された太陽の塔の頂上、未来を表現した金色の顔とほぼ同じ大きさに設計されているのだとか。このエピソードからもオランダと日本の交流の歴史の深さをうかがい知ることができます。

オランダは、海抜よりも低い水位の土地が国土面積の1/4を占めており、水との付き合い方については世界の一日の長といえる存在。「オーブ」と呼ばれる光る球体を持って周遊するパビリオン内の展示は、クリーンエネルギーを水から生成する新技術の紹介とともに、人々が集い、互いに学び、刺激し合う意義を学ぶことができます。

キッズアンバサダーは、世界的人気キャラクターの「ミッフィー」ちゃん。

ドイツ( Pavilion)

EXPO2025公式SNSより

ドイツパビリオンの名称は「わ!ドイツ」。この「わ」には、

輪―循環の環(わ)
和―調和の和(わ)
わー感嘆のわ!

の意味がそれぞれ込められています。

ドイツは、参加する博覧会のテーマにパビリオンの建築を完璧に融合させることを慣例にしており、7つの円筒状の木造建築物が連なる特徴的な形状によって、メインテーマである循環経済を表現しているのだとか。

パビリオン内では、音声案内マスコット「サーキュラー」を受け取り、水や植物などの自然の循環や、さまざまな製品の再利用を進めるドイツの取り組みなどを体験しながら学ぶことが出来ます。また、展示を超えて人々が立ち寄り、発見を楽しむことができるよう自由に歩き回れる緑の公園を備えています。

北欧館(Nordic Pavilion)

EXPO2025公式SNSより

北欧館は、デンマーク、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、スウェーデンの北欧5カ国が共同出展するパビリオン。パビリオン名は「ノルディック・サークル」。5カ国が協力し、共に持続可能な発展をめざすという意味で名付けられました。

パビリオンの建築は、1,200 平方メートル、17 メートルの高さを誇る伝統的な納屋をイメージしたシンプルで美しい木造建築で、北欧のデザインとサステナビリティを体現しています。素材には再生可能な日本産木材が使われています。万博終了後には解体して再利用される計画があるとのこと、循環型建築が体現されています。

また、このパビリオンは夏期を想定して設計されているのも大きな特徴。水平方向に覆われたルーバーが、雨を遮りつつも適度な風を通し、自然光を採り入れるができるため、空調効率の最適化を実現できます。

パビリオン内の展示は、廃棄予定だった米由来のスクリーンに、北欧の暮らし・自然を映し出す展示を行なっています。

まとめ

各国パビリオンの趣向を凝らした建築デザインは、オフィス内装を手掛ける私たちFRSに、既成概念にとらわれることのないデザイン設計を生み出すうえで多くの学びを与えてくれました。地球環境に真摯に向き合う姿勢も、見習わなければいけません。

今回は関西EXPOについてご紹介してきました。会場に足を運んでみたいかたは、YOUTUBEなどでも多くの来場レポートが上げられていますので参照してみると良いと思います。

なお、万博終了後の夢洲には、夢洲IR(ゆめしまIR)という統合型リゾート(IR)施設が建設予定になっており、カジノやホテル、商業施設、エンターテインメント施設などが一体的に整備され、2030年秋頃の開業目標が掲げられています。

統合型リゾートOSAKA IR(大阪IR公式)

カジノファンのみならず、エンターテインメント性溢れるワクワクするものが計画されているようですので、こちらの完成も非常に楽しみですね。

さいごまで読んでいただきありがとうございました。

(著:FRS広報チーム)

参考資料

・EXPO 2025公式サイト

・過去の国際博覧会(外務省)

・日本館公式

・スイスパビリオン(EXPO 2025公式)

・ドイツパビリオン(EXPO 2025公式)

・北欧パビリオン(EXPO 2025公式)

・オランダパビリオン(EXPO 2025公式)

・統合型リゾートOSAKA IR(大阪IR公式)