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  • オフィスにも到来!ロボットの時代

    オフィスにも到来!ロボットの時代

    急速に進む高齢化、さらには過去最少の出生率と、労働力人口の減少に歯止めがかからない日本。

    総人口のうち、65歳以上の人の割合が21%超の状況を「超高齢社会」といいますが、日本の割合は29.1%(2023年時点)と世界一。さらに2025年には、65歳以上の高齢者が3000万人を超え、超々高齢社会に突入する見込みです。

    他の先進国も高齢化が進んでいるとはいえ、2023年時点で、イタリア(23.6%)、ドイツ(23.0%)、フランス(20.4%)など。日本の少子高齢化が突出しているのは一目瞭然です。

    この日本最大の社会課題を解決するため重要な役割が期待されているのが、ロボット。

    2019年以降、経済産業省でもロボットの社会実装を強力に推進、2023年4月1日には改正道路交通法の施行により、いわゆる「レベル4」の自動運転が解禁。遠隔監視などを条件に、一定の基準を満たすロボットは届出制により公道を走行できるようになり、いよいよ自動配送ロボットの社会実装が本格化します。

    ロボットは、アニメの世界だけの存在でも、製造業などの産業用ロボットだけでもありません。オフィスでロボットが活躍する世界が、いよいよすぐそこまで迫ってきているのです。

    オフィスでも活躍の場を広げるロボット

    現在ロボットは、製造業(自動車、家電、半導体など)、物流(大規模な倉庫や配送センターなど)、医療・介護(手術支援ロボットやリハビリテーションロボットなど)、サービス業(大手飲食チェーンやホテルなど)で活躍しており、また、農業(農薬散布や収穫などの作業の代替)、建設業(危険な作業や重労働の代替、安全性向上、コスト削減など)での近い将来の活躍が期待されています。

    さて、これだけ多くのシーンで活躍しているロボット。オフィスでもすんなりと活躍できそうな印象を受けますが、実情は案外そうでもありません。

    オフィスの環境は、実に多岐に渡ります。フロア面積の大小はもとより、通路の複雑さや凹凸、障害物の存在…、などなど環境面のほか、そもそも事業内容、ロボットが担うべき業務の種類によっても事情が異なります。

    とはいえ、オフィスでのロボット活用は多方面で大きな期待が寄せられており、世界中で開発が進んでおり、清掃ロボット、警備ロボット、案内ロボット、通訳ロボットなどが開発・導入が着々と進んでいます。

    NTT Comが提供するスマートビル「ロボット オフィス編」

    次に、実証実験中のロボットや、既に活躍しているロボットなどの事例をご紹介していきましょう。

    AI案内ロボット「Cruzr」

    オフィス家具製品のアテンドをサポート(KOKUYO)

    コクヨ社では、2022年5月に東京ショールームで「Robot Showroom Guide」を実施。

    当社営業担当者等によるお客様のショールーム案内時に、人型AIロボット「Cruzr」による音声やディスプレイ情報によって、当社「Fore」の音体験方法案内や仕様説明、展示エリア内の先導等を行います。今回、これら期間限定の取り組みを通じて、人型AIロボットによる新しい提案スタイルの有効性を検証しながら、今後の魅力あるオフィス空間や働き方等、当社独自のソリューション提案に生かしてまいります(コクヨ公式サイトより)

    ショールームにおけるロボットの存在価値は、非対面・省人化の実現だけではありません。メーカー発表では、従来の案内方法(ヒトによる説明)と比較して、ロボットの場合には商品の特徴を最後まで聞いてもらえることが実証実験の結果から分かっているとのこと。

    自律走行型配送ロボット「YUNJI DELI(ユンジ デリ)」

    2021年2月、NECネッツアイ社により大手町パークビル内で配膳ロボットの実証実験が行なわれました。

    当初からアプリでオーダーが可能なカフェテリア「スパークル」では、「YUNJI DELI」を導入することで、注文から配膳までが非対面で実現。カフェテリアのあるフロアからセキュリティドアを通過、エレベーターを使用し注文者のフロアまでオーダーを配送しました。

    実証実験では、大手町パークビル3階にある三菱地所の社内カフェテリア「スパークル」で用意されたソフトドリンクなどを、配膳ロボがセキュリティドアを自動で通過し、来客などとの打ち合わせスペースである応接室まで運びます。飲み物を運ぶ適切な走行速度、人や設備に衝突しないかなどの安全性といった走行性能や運用性のほか、スタッフの配膳時間をどの程度低減できるか、非接触による感染対策として満足されるかなどサービスレベルについても検証いたします。また、セキュリティドアとの連携も確認します。(NECネッツアイ)

    コミュニケーションロボット「LOVOT」

    「LOVOT(らぼっと)」の誕生ショートストーリー(LOVOT)

    既に少しずつブームになりつつあるコミュニケーションロボット。

    オフィスにコミュニケーションロボットがあることによって、自然と周りに人が集まり、その挙動によって笑顔が生まれ、リラックスした空気で従業員同士のコミュニケーションが生まれる、そんな好循環を生み出せるのが、最大の存在価値といえそうです。

    「LOVOT」は、最高水準のCPUや50以上のセンサーなどによって、まるで生きているかのようにふるまうコミュニケーションロボット。呼びかけに対して最小限のタイムラグで反応、瞳の動き、鳴き声はなんと10億通り以上のバリエーションがあるとか。

    2023年にオカムラ社が行なった実証実験では、非常にポジティブな結果が得られたと公表しています。

    オカムラはGROOVE X株式会社の協力を得て、家族型ロボット「LOVOT(らぼっと)」2体を、様々な検証を行っている自社のラボオフィス「We Labo」に設置。執務エリアとリフレッシュエリアの2か所にそれぞれ7週間置き、ワーカーにアンケートを行いました。(中略)LOVOTの設置期間を終えた段階で改めてアンケートを行いました。LOVOTのような家族型ロボットがオフィスにいることで、どのような効果があるか尋ねたところ、約9割の人が「癒しや気分転換になる」と回答し、7割以上の人が「笑顔が増加する」と回答しています(オカムラ公式サイトより)

    オフィスに出社する意味が問われる昨今、コミュニケーションロボットがその動機になるかもしれません。

    オフィスロボットに期待する進化

    クリーニングロボットへの期待

    現代オフィスのメインストリームとなっているフリーアドレスのオフィスでは、デスク、チェア、デュアルモニターをはじめ、あらゆるアイテムが共用設備。そのような環境下、衛生管理の問題が各所で勃発しています。意匠に凝った快適なハズのオフィスも、清潔に保たれていなければ台無しというもの…。

    オフィス清掃といえば、床の清掃、デスクの拭き掃除、ゴミの収集などが標準的メニューですが、フリーアドレスのオフィスでは、使用後の毎回の拭き掃除や、デュアルモニターを定位置に戻すなど、プラスアルファの業務が必要です。従業員のエンゲージメント向上、著しい採用難などを考慮すると、そんな課題の解決もロボットに期待したいところ。

    ヒトからのサインがなくても、センシング技術でデスクの使用状況をリアルタイムに把握、離席時間の長さやデスク上の残置物の有無などから退席したかどうかを判断し、退席の場合には清掃・整頓を実施してくれる…そんなロボットが登場してほしいものです。さらには、備品のストック状況をリアルタイムで把握、一定以下に減ったときに補充手配まで自動でしてくれるような機能が実装されれば尚良しですね。

    コミュニケーションロボットへの期待

    ウェルビーイングな環境が求められる近年のオフィスでは、従業員の健康管理も重要な役割。その点で、コミュニケーションロボットのセンシング技術によって従業員の体温を測ったり、顔色から体調の変化を察知したりと、体調管理ができるようになると、さらに存在価値を増しそうです。

    だれが、今なにをやっているか、質問すればすぐ答えてくれるといった、人どうしの繋がりを補助してくれるようなロボットの登場も期待したいですね。

    まとめ

    日本は、超精密ロボット開発の要素技術において、世界トップレベルの技術力を保有するといいます。ロボットが、現状横たわっている壁を乗り越え、日本の社会課題を解決してくれる未来が楽しみです。

    弊社でも、オフィス分野で培った知見を活かし、さまざまなパートナー企業とコラボレーションをしながら、ロボットの社会実装を見据えた最適なオフィス空間をご提案していきたいと思います。

    さいごまで読んでいただきありがとうございました。

    (著:FRS広報チーム)

    参考資料

    ・戦略的イノベーション想像プログラム(経済産業省)

    ・2023年4月からロボットが公道を走行します!(経済産業省)

    ・大手町パークビルのオフィス内でカフェをデリバリーする「配膳ロボ」の実証実験を実施(NECネッツアイ)

    ・進化するロボット制御。オフィスロボットの普及を陰で支える革新的プラットフォーム(OPEN HUB)

    ・コクヨ東京ショールームで人型AIロボットの期間限定運用(KOKUYO)

    ・AI案内コミュニケーションロボット「Cruzr」(SENXEED)

    ・LOVOT公式サイト

    ・族型ロボットがオフィスで活躍!?「癒し」と「笑顔」を増やし、組織の潤滑剤にも(オカムラ)