
皆さんは、充分な睡眠時間が確保できていますか。
日本は、世界でも睡眠時間がもっとも短い国のひとつだと言われます。働き方改革の潮流で、残業時間の短縮や積極的な有給休暇取得などが推進されて久しいですが、業務都合上、どうしても残業が続く時期や、休日出勤をともなう業務が重なる場合も。
そのような時期に、疲労が蓄積したり、体調を崩すことは避けたいものです。そこで今回は、効果的に休むことについて考えてみたいと思います。
日本人は睡眠が足りない?

厚生労働省から平成29年に発表された、日本人成人の平均睡眠時間の統計によると、いずれの世代でも男女ともに、1日の平均睡眠時間は5~7時間程度。世界平均では男女ともに睡眠時間が8時間以上であることに比べると、やはり日本人の睡眠時間が大きく下回っています。

また、睡眠で十分に休息が取れていないと感じる人の割合は、平成29年で21.9%と年々上昇傾向。厚生労働省は、この平均値を15%までの引き下げをめざしています。疲労は、一度蓄積すると回復させるのは難しく、 疲労の蓄積による生産性の低下は、国内経済の損失につながります。
疲労回復に必要な睡眠時間については諸説がありますが、人によって異なるため、自分に合った生活リズムをつくる必要があります。発熱やケガなど、痛みをともなう休暇は申請しやすいですが、「疲労で休みます」とはなかなか言い出しにくいもの。疲労回復のためには、効果的な休養によって疲労を取り除く必要があるのです。
休養には2種類ある
休養には、Active Rest(積極的休養)とNegative Rest(消極的休養)があります。
Active Rest(アクティブレスト / 積極的休養)
アクティブレストとは、疲労時に、激しくない程度の運動で体を動かすことで血流を改善させ、疲労物質を効率的に排出させる休養方法をいいます。ジョギングなどの有酸素運動や、ストレッチ、ウォーキングなどの血液循環を促す運動により血液循環が促進することで、疲労回復につなげます。
Negative Rest(ネガティブレスト / 消極的休養)
ネガティブレストとは、安静・休養・睡眠など、身体を動かさずに疲労を取り除く休養をいいます。横になったり、読書・音楽鑑賞などによって心身を安静にすることは、疲労回復に効果的です。パッシブレストとも呼ばれます。
自分の身体と向き合いながら組み合わせていくことによって、疲労回復効果が向上します。
企業が取り組める制度
パワーナップ(仮眠/昼寝)
業務時間中に仮眠や昼寝を推奨する、いわゆるパワーナップを取り入れる企業が増えています。社員の心身の健康を保つことができる一方、眠気による業務効率の低下や、集中力欠如から生じるヒューマンエラー防止など、リスク回避のひとつの手段とも考えられています。お昼前後の時間帯で15~30分程度の仮眠を取るのが効果的と言われています。
勤務間インターバル制度
勤務間インターバル制度とは、翌日の出社までの間に、一定時間以上の休息時間(インターバル)を設けることで、働く方の生活時間や睡眠時間を確保するものです。一定の休息時間を確保することで、従業員が充分な生活時間や睡眠時間を確保でき、ワーク・ライフ・バランスを保ちながら働き続けることができると考えられます。

何時間の休息を取るべきかについては環境により様々ですが、ヨーロッパの先進国では、休息時間を11時間前後に設定している国が多いといいます。
まとめ
今回は、休養について取り上げました。疲労が蓄積すると、心身の病気になったり、免疫力が低下することで感染症にもかかりやすくなります。忙しいときほどそのリスクは高まるので、疲労回復させる手段を知って実践しておくことが大切です。
また、個人の意識や取組みに加えて、企業側で効果的に疲労回復させるための制度や、福利厚生制度を拡充させるのも大切。生産性向上やリスク回避にもつながりますので、未着手の場合は、オフィス環境や制度の見直しを前向きに考えてみてください。