
11月も中旬を過ぎ、すっかり気温も下がってきました。体調を崩しやすい季節の変わり目ですが、冬支度は済まされましたか。
新型コロナウイルスの状況は、スポーツや音楽コンサートなどの各種大型イベントの規制緩和や、入出国制限の緩和の影響か、11月に入って感染者数が増加傾向に。過去最多を更新した地域も出ているようです。巷では、第8波の到来が警戒されています。
また、2022年はインフルエンザが急増するのではないかとの懸念も。「新型コロナとインフルエンザの同時流行」などのタイトルで、メディアで取り上げられることも少なくありません。一部では、「ツインデミック」、「フルロナ」などとも呼ばれているとか。
コロナ渦においては、恐怖心を必要以上に煽る行き過ぎたメディアによる報道も散見され、それらを問題視する声も多数ありました。アフターコロナに向けて世の中が前を向き始めている現在、少しでも余計な不安を取り除いておきたいもの。今回のコラムでは、その「新型コロナとインフルエンザの同時流行」について情報を整理していきます。
FRSでは、20年以上の実績を誇る感染症対策製品「delfino」を取り扱っており、抗菌・防臭対策としてコロナ禍以前から全国のお客様にご愛顧いただいています。今回のコラムでは、提供元の株式会社デルフィーノケアの広報を監修されている、感染症の権威である防衛医科大学校の加來教授へのインタビューを転載させていただいています。
ご自身と、周りの方々を守るためには、まずは正しい情報収集が重要です。ぜひご一読ください。
直近の感染者数の推移
例年、秋頃になるとインフルエンザワクチン接種を呼びかける広告や、社内啓もうの声が散見されましたが、2020年以降、その姿はあまり見かけませんでした。その主な要因はやはり、新型コロナウイルスの登場。
感染力の高い未知のウイルスの登場は、あらゆる状況を一変させました。ワクチン接種を積極的に呼びかけなくとも、インフルエンザの患者数は自然と減っていきました。厚生労働省の公表データからも、その推移は明らかです。

2020年、2021年ともインフルエンザ患者報告数は前年を文字通り桁違いに下回っています。このことは、あらゆる新型コロナ対策がインフルエンザ予防にも効果的だったことを物語っています。
新型コロナウイルスへの対策は、「個人が意識的に行なうもの」と、「国や地方自治体などからの要請によって行なうもの」がありますが、前者は、マスクの着用や手洗いの徹底、三密の回避など。これらによる感染抑止効果は大きかったと推定されています。
後者は、国や地方自治体が発令する緊急事態宣言や、国際間の往来の規制などです。新型コロナウイルスの初期から昨年にかけては(自治体にもよりますが)4回の緊急事態宣言が発令されており、また、全期間を通して不要不急の外出自粛が要請され続けていました。新型コロナ、インフルエンザとも、主に飛沫核感染や接触感染によって感染拡大していくため、感染者が動き回ることができなければ物理的な感染経路が遮断され、大きな感染拡大抑止効果が得られます。
さらに、海外渡航に関しては、より厳しい制限がありました。出入国在留管理庁の公表している2020年、2021年のデータは以下のとおりです。
入国者数 | 出国者数 | |
2020年度 | 4,307,257人(昨年対比▲86%) | 3,174,219人(昨年対比▲84%) |
2021年度 | 353,119人(昨年対比▲92%) | 512,244人(昨年対比▲84%) |
・令和2年における外国人入国者数及び日本人出国者数等について
・令和3年における外国人入国者数及び日本人出国者数等について
インフルエンザ患者数が大きく減った過去2年間と、2022年では、これらの国や地方自治体からの要請に基づく規制に関して大きな差異があります。今シーズンは、一人ひとりの自衛の意識に基づいた感染抑止策が一層求められるというわけです。
では、今シーズン備えておくべき新型コロナとインフルエンザに関する知識や備えなどについて、次にご紹介する防衛医科大学校の加來教授へのインタビューをご参照ください。
防衛医科大学校 加來教授に聴く

本稿は、株式会社デルフィーノケア広報部の許可をいただいて掲載しています
今回、防衛医科大学校の加來教授にインタビューさせていただくにあたって、今回は、新型コロナウイルスとインフルエンザについて質問・不明点をSNSなどで募集しました。
票の集まった質問・不明点は以下のとおり。
・新型コロナとインフルエンザ、どちらをより警戒するべきなのか
・新型コロナとインフルエンザの同時感染はあり得るかどうか
・新型コロナのワクチンはインフルエンザに有効なのかどうか
・インフルエンザワクチンに副反応はないのかどうか
・新型コロナとインフルエンザ、ワクチンの同時接種は可能なのかどうか
・新型コロナとインフルエンザ、両方の予防策はあるのかどうか
これらの6つの質問について、加來先生にお聴きします。
加來先生インタビュー

はじめに、まず新型コロナとインフルエンザ、より警戒するべきなのはどちらなのでしょうか。
もう皆さんもお気づきだと思いますが、2つの感染症とも様々なケースがあるので断言は難しいですが、忘れていけないのは両者ともに局所の感染症ではなくて、全身感染症であるということです。したがって、基礎疾患をお持ちの方が重症化するリスクは両者ともに高いのです。新型コロナウイルス感染症は、これからも変異を繰り返していくでしょうから、症状も後遺症も大きく変わってくることが予測されます。
しかしながら、一番気になるのは、やはり致死率です。新型コロナ対策を検討する専門家グループの調査報告では、「オミクロン株の感染者に占める死亡者の割合(致死率)は、今年1月以降の暫定値で約0.13%と、複数の方法によって推計した季節性インフルエンザの致死率0.006~0.09%を大きく上回っている」という結果でした。
新型コロナとインフルエンザ、これらの感染症に同時に感染することはあり得るのでしょうか
同時にかかることがあります。欧州では既に同時感染の事例が報告されています。最近「新型コロナの症状は軽いから大丈夫」と高をくくって、予防しない人が増えているようですが、同時感染のリスクは警戒するべきです。
先にどちらに罹患しても、基礎疾患を有するに人にとっては、持病の悪化や体力の消耗に繋がりますので、同時感染すると重症化のリスクが高まるし、その間は二つのウイルスを周辺に排出していることになります。
新型コロナのワクチンを既に3回打っています。それでもインフルエンザには感染することはありますか
それぞれまったく別のウイルスによる感染症なので、新型コロナワクチンはインフルエンザには効果はありません。
そもそも新型コロナワクチンもインフルエンザワクチンも、感染予防効果というよりは発症時の症状軽減効果(重症化予防)が期待されています。心配な方はイルエンザワクチン接種をお奨めします。
新型コロナワクチンの接種時、副反応で数日間寝込みました。それからワクチン接種に対して恐怖感がありますが、インフルエンザワクチンにも副反応があるのでしょうか
インフルエンザワクチンは、一般に副反応が少ないとされています。10~20%の割合で、接種局所の赤み、腫れ、痛みが起こりますが、通常2~3日で消失します。過去に重い副反応の報告事例がありますが、それらはワクチン接種との因果関係が明らかになっていません。
逆に接種してはならないのは、過去にインフルエンザワクチン接種により重症なアレルギー症状 (アナフィラキシー反応) を起こしたことがある人のみです。
新型コロナワクチンとインフルエンザワクチンを同時に接種しても大丈夫ですか
新型コロナワクチンとインフルエンザワクチンは、同時接種が可能です。新型コロナワクチンとの接種間隔では、インフルエンザワクチン以外のワクチンには2週間が必要となりますが、インフルエンザワクチンについてはその制限がありません。
新型コロナとインフルエンザの両方の予防策はありますか?
現在、大型イベントの開催や海外渡航など、新型コロナに対する様々な規制が緩和されています。そのため、新型コロナの感染拡大と、新型コロナの予防対策によって防止できていたインフルエンザも感染拡大の可能性があります。

そうなった場合、新型コロナの第6波で経験したように医療機関に大勢の人が押し寄せたり、医療従事者が感染したりと、スムーズに診断が受けられない状況(医療ひっぱくの状態)が続く可能性があります。そのためにはやはり、自己防衛が重要だと考えています。
新型コロナとインフルエンザは、別のウイルスですが、感染対策は同様です。
- 三密を避ける
- マスクの着用と咳エチケット
- 口腔衛生(うがいなど)
- こまめな手洗い
これらの基本的な予防策を徹底することが大切です。スポーツや音楽コンサートなどの大型イベントに参加する際には、運営側から発信される感染症対策をしっかり守り、参加者がお互い気持ちよく楽しむことが重要だと思います。
インフルエンザワクチン接種は、ご自身を守るという目的の他に、ご家族・ご友人への感染源とならないという目的があります。とくに身近にお年寄りや小さなお子様、基礎疾患をお持ちの方がおられる場合にはぜひ接種を検討してみてください。
さいごに

今回は、新型コロナとインフルエンザの同時流行について整理しました。
重篤な症状になる可能性もある2つの感染症が脅威であることは確かですが、日頃から基本的な感染症対策を行なっていれば、同時に抑止することができそうです。その基本的な対策とは、
- 三密を避ける
- マスクの着用と咳エチケット
- 口腔衛生(うがいなど)
- こまめな手洗い
これらです。また、個人の意識・モラルに依存しない事業者の行なう感染症対策としては、
やはり、これがいちばん(当社の見解です)。オフィスの感染症対策についても、詳しい情報をお求めのかたは、ぜひFRSまでお気軽にお問合せください。
最後までお読みいただきありがとうございました!
(著:FRS広報チーム)